国際分業の逆回転が起こるかも
現在の世界経済は、世界中の企業が世界中に工場を作って、世界的に活発な貿易が行われています。それぞれの国が一番得意なものを大量に作って交換するのが良い、と経済学は教えていて、その通りになっているわけですね。これを国際分業と呼びます。
ところが、最近になって国際分業を減らそうという動きが出て来ているのです。直接の原因は、中国の工場が新型コロナで稼働できなくなって困った企業が、今後も似たような事が起きるかもしれないということで、工場を日本などに戻す動きがあることです。
しかし、より重要なのは、ロシアや中国とアメリカなどの仲が悪くなり、お互いの国に工場などを持つ事がリスクだと考える企業が増えてくることでしょう。
中国で作った方が安いから中国に工場を建てたのに、その工場を閉じて日本等に工場を作ることになると、生産コストが高くなります。そうしたコストの上昇が世界的な規模で起きるかも知れないわけです。
ちなみに本稿は、あくまでもリスクの指摘であって、筆者の予想ではありません。したがって、過度な懸念は不要ですが、どんなリスクがあるのかを知っておく事は重要だと思います。
本稿は、以上です。なお、本稿は厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。
塚崎 公義