公的年金には「老齢年金・障害年金・遺族年金」の3種類があります。
老齢年金は基本的に65歳から、障害年金や遺族年金は受給要件に該当された方が受給する年金です。
日本年金機構によれば、それぞれの年金を受け取っている人数は以下の通り。
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出典:日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」
年金受給者数(2019年末)
- 老齢年金:約4062万人
- 障害年金:約221万人
- 遺族年金:約667万人
特に老齢年金は老後を迎えれば誰でも受け取れる印象がありますが、それぞれの年金で受給要件が定められています。
今回は早めに知っておきたい「老齢年金・障害年金・遺族年金」の受給資格をそれぞれ確認していきましょう。
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老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)の受給要件は?
まずは年金制度を確認しましょう。
日本の年金は2階建てとなっています。
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出典:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成
自営業や専業主婦は「国民年金」に、会社員や公務員などは国民年金に上乗せして「厚生年金」に加入しています。
将来はそれぞれ「老齢基礎年金(国民年金)」や「老齢厚生年金」を受け取ります。
老齢基礎年金・老齢厚生年金ともに、基本的に65歳から受給します。
ただし、60~64歳まで繰上げて減額された年金を受け取る「繰上げ受給」や、66歳~75歳まで繰下げて増額された年金を受け取る「繰下げ受給」を選ぶことも可能です。
また、老齢厚生年金の場合、一定の要件を満たせば65歳になるまでの間「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れます。
では、「老齢基礎年金(国民年金)」と「老齢厚生年金」の受給要件をそれぞれ確認しましょう。
老齢基礎年金の受給要件
老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した「受給資格期間※」が10年以上ある場合に受け取ることができます。
※受給資格期間とは、国民年金だけでなく、厚生年金、共済組合の加入期間もすべて含まれ、年金額には反映されない合算対象期間や保険料が免除された期間も入る。
老齢厚生年金の受給要件
老齢厚生年金は、老齢基礎年金を受け取れる方に厚生年金の加入期間がある場合、上乗せして受け取ることができます。
年金加入期間が10年未満の場合には、以下のケースで資格期間を満たす場合もあるので確認しましょう。
- 年金加入記録に漏れがある
- 60~65歳まで任意加入する(昭和40年4月1日以前生まれの方は70歳まで)
- 合算対象期間がある
複数が当てはまるケースもあるので、ねんきん定期便を確認したり、最寄りの年金事務所などで相談したりするといいでしょう。
障害年金の受給要件は?
次に、「障害年金」の受給要件を確認しましょう。
障害基礎年金の受給要件
障害基礎年金は、次の1から3のすべての要件を満たす必要があります。
- 障害の原因となった病気やけがの初診日が、国民年金加入期間もしくは、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間。
- 障害認定日(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)に、障害の状態が障害等級表に定める1級、もしくは2級に該当する。
- 初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で「国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間」が3分の2以上ある。ただし「初診日が令和8年4月1日前にあり、初診日に65歳未満」であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよい。また「20歳前の年金制度に加入していない期間」に初診日がある場合、納付要件は不要です。
次に、障害厚生年金についても確認します。
障害厚生年金の受給要件
障害厚生年金は次の1から3のすべての要件を満たす必要があります。
- 厚生年金保険の被保険者である間に、障害の原因となった病気やけがの初診日がある。
- 障害認定日に、障害の状態が障害等級表に定める1級~3級のいずれかに該当している。ただし障害認定日に障害の状態が軽くても、その後重くなった場合には受け取れる場合もある。
- 初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、「国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間」が3分の2以上ある。ただし、「初診日が令和8年4月1日前で、初診日に65歳未満」であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよい。
障害基礎年金は障害等級表の1級もしくは2級ですが、障害厚生年金は1~3級という違いがあります。
また、年齢によっても受給要件が異なるので確認しておきましょう。
遺族年金の受給資格は?
最後に「遺族年金」について確認しましょう。
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出典:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和4年版」
遺族基礎年金の受給要件
受給者:亡くなった方が国民年金に加入しており、その方の子のある配偶者や子ども(子どもとは「18歳になる年度末までの子ども」や「一定の障害がある20歳未満の子ども」などの条件がある)。
- 国民年金の被保険者である間に死亡したとき※1
- 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき※1
- 老齢基礎年金の受給権者であった方(保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限る)が死亡したとき
- 保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方方が死亡したとき
遺族厚生年金の受給要件
受給者:亡くなった方が国民年金に加入しており、その方の配偶者や子ども、父母、孫、祖父母が受給できる(子どもとは「18歳になる年度末までの子ども」や「一定の障害がある20歳未満の子ども」などの条件がある)
- 厚生年金の被保険者である間に死亡したとき※1
- 厚生年金の被保険者期間に初診日※2がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき※1
- 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている人が死亡したとき
- 老齢厚生年金の受給権者であった方(保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限る)が死亡したとき
- 保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方が死亡したとき
※1:保険料納付要件がある
※2:初診日の要件がある
遺族年金は老齢年金とは異なり、それぞれの年金に加入していた方の受給資格期間が「25年以上」あることが条件となります。
また、遺族基礎年金を受け取る場合には「子のある配偶者」となっており、その子どもは18歳になる年度末までなどの条件があります。
子どもがすでに成人していれば遺族基礎年金は受け取れないため、夫が国民年金のみに加入している場合、遺族年金を受け取れない場合もあります。特に夫婦ともに国民年金の場合には、より老後資金の準備が必要と考えられるでしょう。
また、遺族年金を受け取る遺族には優先順位があり、死亡当時、死亡した方によって生計を維持されていた方が対象となっています。
遺族年金については受給要件が複雑な部分もあり、またこれ以外の制度もあるため、こちらに関しても最寄りの年金事務所等で相談するとよいでしょう。
公的年金を支払う、もしくは「免除制度・納付猶予制度」の利用の検討を
「老齢年金・障害年金・遺族年金」それぞれの受給要件をご紹介してきましたが、知らなかったという方も多いのではないでしょうか。
「老後に貰えるのが当たり前」という印象の強い年金ですが、受給要件が定められています。それぞれの年金の受給要件を見ても分かる通り、まずはきちんと年金を支払うことが重要と言えるでしょう。
公的年金は老後はちろん、障害を抱えたり、家族に万が一のことがあったりした場合にも、生活の一部を支えてくれます。最近では年金はあてにできないという風潮もありますが、老後や万が一のときの生活資金の柱となることを覚えておきましょう。
ただし、長い人生ではさまざまな事情で年金を払うのが苦しくなるときもあります。その場合には「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」の利用を検討しましょう。
「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」が利用できれば、保険料の免除や納付猶予が承認された期間は年金の「受給資格期間」に算入されます。
将来の年金額が下がることもありますが、期間内であれば追納も可能です。ひとりで悩まずに、こちらも年金事務所等で相談しましょう。
当たり前の印象が強いものこそ細かな確認を忘れてしまいがちですが、いざという時に困らないよう、前もって受給要件を知っておくことは大切でしょう。
また、2022年10月にはパートの方の社会保険の適用も拡大されます。
老齢年金は終身でもらえるというメリットもありますから、働き方を選ぶ際には、公的年金の内容もあわせて検討されるといいでしょう。
参考資料
- 日本年金機構「老齢年金(受給要件・支給開始時期・年金額)」
- 厚生労働省「年金を受けとるために必要な期間が10年になりました」
- 日本年金機構「障害年金(受給要件・請求時期・年金額)」
- 日本年金機構「遺族年金ガイド 令和4年版」
- 日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」
宮野 茉莉子
