夏季休暇を満喫した方は、心機一転仕事と向き合っているのではないでしょうか。

一方で、今後の働き方を考えるきっかけになった方も少なくないようです。特に地元の友人と遊んだ方などは、多様な働き方に触れることで、転職について関心が高まることもあります。

今の仕事はもちろん年収に直結するものですが、実は将来の年金額に影響するということをご存知でしょうか。

会社員や公務員が加入する「厚生年金」は、現役時代の報酬によって納めた保険料やその加入期間で受給額が決まります。

厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の月平均は約14万円。

しかし、この金額で安心するには老後のリスクがあまりにも高いのです。詳しく見ていきましょう。

【注目記事】厚生年金と国民年金「一般的な夫婦世帯」の受給額は月平均いくらか

1. 厚生年金は国民年金より手厚いがピンキリ

日本に住む20歳~60歳未満の方は、原則的に国民年金(基礎年金)に加入します。これにより、一定の障害を負えば障害年金が、生計維持者が亡くなれば遺族年金が、そして一定の年齢に達すれば老齢年金が受け取れます(受給にはそれぞれ要件があります)。

国民年金は、働き方によってさらに3つにわかれます。

  • 第1号被保険者:自営業、20歳以上の学生など
  • 第2号被保険者:会社員や公務員など
  • 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養される配偶者

このうち第2号被保険者である公務員や会社員などは、上乗せして厚生年金にも加入します。

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出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)・厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとにLIMO編集部作成

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)・厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとにLIMO編集部作成

上記の構造から、日本の年金制度は2階建てとも言われていますね。

このことから、厚生年金の加入者は国民年金のみの人よりも受給額が手厚いと言えます。しかし、実は厚生年金の受給額はピンキリ。平均である14万円を受給できる人は、あまり多くないのです。

2. 厚生年金の受給額を1万円ごとに検証

実際に今の高齢者が受給する厚生年金について、厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から1万円刻みで見ていきましょう。

こちらには国民年金の受給額が含まれています。

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出所:厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、LIMO編集部作成

出所:厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、LIMO編集部作成

  • 1万円未満:10万511人
  • 1万円以上~2万円未満:1万8955人
  • 2万円以上~3万円未満:6万6662人
  • 3万円以上~4万円未満:11万9711人
  • 4万円以上~5万円未満:12万5655人
  • 5万円以上~6万円未満:17万627人
  • 6万円以上~7万円未満:40万1175人
  • 7万円以上~8万円未満:69万4015人
  • 8万円以上~9万円未満:93万4792人
  • 9万円以上~10万円未満:112万5260人
  • 10万円以上~11万円未満:111万9158人
  • 11万円以上~12万円未満:101万8423人
  • 12万円以上~13万円未満:92万6094人
  • 13万円以上~14万円未満:89万7027人
  • 14万円以上~15万円未満:91万3347人
  • 15万円以上~16万円未満:94万5950人
  • 16万円以上~17万円未満:99万4107人
  • 17万円以上~18万円未満:102万4472人
  • 18万円以上~19万円未満:99万4193人
  • 19万円以上~20万円未満:91万6505人
  • 20万円以上~21万円未満:78万1979人
  • 21万円以上~22万円未満:60万7141人
  • 22万円以上~23万円未満:42万5171人
  • 23万円以上~24万円未満:28万9599人
  • 24万円以上~25万円未満:19万4014人
  • 25万円以上~26万円未満:12万3614人
  • 26万円以上~27万円未満:7万6292人
  • 27万円以上~28万円未満:4万5063人
  • 28万円以上~29万円未満:2万2949人
  • 29万円以上~30万円未満:1万951人
  • 30万円以上~:1万6721人

※国民年金の金額も含む

14万円未満にあてはまる方が47.9%も存在します。ボリュームゾーンは9~10万円未満と、平均から大きくかけ離れていますね。

以上から「厚生年金の平均は14万円だから」という認識で老後計画を立てることは、あまりにもリスクが高いことがわかります。

3. 自分の年金見込額はどうやったらわかるのか

自分の年金の見込額を知る場合、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」が参考になる場合があります。特に50歳以上の場合は、「今の収入が継続した場合」での見込額が記載されているため、目安がつかみやすいでしょう。

一方、50歳未満の方の場合、ねんきん定期便には「これまでの加入実績に基づいた試算額」しか記入されていません。

そのため、実際の受給額よりも少ない金額になることが一般的です。この場合は「ねんきんネット」で試算してみるのが正確でおすすめです。

ねんきんネットとは、日本年金機構が運営するサイトのことで、主に自分の年金受給額をシミュレーションすることができます。

これまではユーザIDを取得する必要があり、さらにユーザIDを取得するには、基礎年金番号やメールアドレスを入力して登録申請することが必要でした。

しかし現在は、マイナポータルを経由することでログインすることが可能になりました。ねんきんネットに登録できれば、これまでの加入実績や将来の年金見込額などが確認できます。

冒頭で触れた「転職」の影響についても、収入見込額を入力すれば将来の年金額をシミュレーションすることもできます。

こうしたツールを駆使することで、正確に年金見込額を把握しましょう。

4. 老後の備えは早めに始める

厚生年金の受給額について、平均を鵜呑みにすることの危険性を解説しました。

平均値とは一部の大きな値に引っ張られる傾向があるため、それが確実に実態を表しているとは言い切れません。

今回の資料のように、分布に注目したり自分なりの目安をつかんだりするように意識しましょう。

また、例え厚生年金が14万円見込めたとして、この金額で生活できるかはまた個人によって異なります。

家族形態や居住地、生活水準、持ち家の有無などで大きく左右されるでしょう。介護費用も見過ごせません。

今後年金の水準が減るリスクも加味して、老後の準備はできるだけ早くに始めましょう。まずは「我が家の」年金や支出の見込額を試算することが大切です。

参考資料

太田 彩子