年収1000万円は所得制限に引っかかる?

年収1000万円世帯はしばしば所得制限に引っかかりやすいと言われます。

たとえば児童手当です。

児童手当の所得制限

児童手当は中学生までの子どもがいる世帯に支給されます。

3歳未満は一律1万5000円、3歳以上小学校修了前は1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生は一律1万円です。

児童手当には所得制限が設けられています。

所得制限限度額と所得上限限度額

出典:内閣府「児童手当制度のご案内:子ども・子育て本部」をもとに筆者作成

児童手当の支給要件として、子どもを養育している人の所得が「所得制限限度額」未満である必要があります。

ただし、「所得制限限度額」以上「所得上限限度額」未満の場合は、特例給付として、児童1人当たり月額一律5000円が支給されます。※

※令和4年10月支給分から、「所得上限限度額」以上の場合には、特例給付は支給されません。

これまで、「所得制限限度額」以上の場合は一律5000円の特別給付がありましたが、これにも「所得上限限度額」という上限を設けて、特別給付にも制限がかけられました。

扶養親族とは、同一生計の配偶者と子どもを指します。

前出の「パターン2:専業主婦世帯」の場合、妻と子ども1人なので扶養親族は2人となり、収入額の目安を参考にすると、児童手当は受けられず、特別給付が受けられます。

その他の所得制限がある子育て支援

高校生のいる家庭の授業料負担を軽減するための制度である「高等学校等就学支援金」には所得制限が設けられています。

対象となる年収の目安としては、両親のうちどちらか一方が働き、高校生1人(16歳以上)、中学生1人の子供がいる世帯で年収約910万円未満となります。

他にも、子どもの医療費の一部または全額を自治体が助成する「小児医療費助成制度(自治体によって名称が異なる)」に所得制限を設けているケースがあります。

対象年齢や助成内容、所得制限の有無などは各自治体で異なるため、お住まいの市区町村のホームページで確認してみてください。

まとめにかえて

同じ世帯年収1000万円でも、世帯構成によって手取り額が違うこと、また、子どもを持つ家庭では年収1000万円は所得制限によって、支援を受けられてない可能性が高いということがわかりました。

独身の場合は支出も1人分なので、年収1000万円は手取りが少ないとしても余裕のある生活ができるでしょう。

専業主婦(主夫)世帯や共働き世帯は子どもがいると支出が増え、世帯年収1000万円といえども余裕があるとはいえない状況でしょう。

子育て支援の所得制限は議論の余地があると思います。世帯年収だけではわからない収支バランスによって生活イメージを捉えることが大事でしょう。

参考資料

石倉 博子