5. ヤドカリ投資のデメリット

ヤドカリ投資のメリットを見ていくと、一般の不動産投資よりもハードルが低いようにも思われます。しかし一方で、気を付けなければならないデメリットや注意点もあります。

5.1 賃貸経営のような経費化ができない

投資用不動産の場合、賃貸経営に必要な費用は経費とすることができます。例えば、減価償却費や修繕費、固定資産税などは全額経費計上することが可能です。

一方、ヤドカリ投資の投資対象は自己居住用の不動産です。自分で住む目的のものですので、費用の経費計上はできません。

売却のために行ったリフォームなども経費には認められないため、節税効果が期待できないことに注意する必要があります。

5.2 収益化まで時間がかかる

一般の不動産投資の場合、所有物件に入居者が入ればその時点から家賃収入が発生します。

しかし、ヤドカリ投資で収益が発生するのは住み替え時点となり、収益化に時間がかかるというデメリットがあるでしょう。

しかも旧居の売却を検討している場合、売却益が出るタイミングでの売却が可能でなければ、必ずしも収益が発生するとは限りません。

また、複数の物件を同時に運営することでリスクヘッジを取ることも難しいといえるでしょう。

5.3 物件選択が難しい

ヤドカリ投資を目的としている場合、先々の住宅需要を見込める物件であるかが重要になります。

自宅としての希望条件を満たしつつ、ヤドカリ投資で利益を出せる物件となると、物件選びは難しくなるといえるでしょう。ときには、自分の家の希望条件を妥協することになるかもしれません。

また先述の通り、床面積40m2未満のワンルームマンションといった住宅ローン特別控除の対象とならない物件では、ヤドカリ投資のメリットが薄れてしまいます。

住宅ローン控除を活用したい場合には、控除要件についてよく確認することが必要です。

6. ヤドカリ投資を失敗させないポイント

ヤドカリ投資のポイントは、将来的に高く売却できる物件・賃貸需要の高い物件を選ぶことです。後々の投資効率を大きく左右しますので、情報収集を怠らず、投資効果の期待できる物件を探しましょう。

そのためには、自分が住みたいと思う物件よりも一般的な需要が高い物件であるかどうかを見ていく必要があります。

交通利便性や周囲の生活関連施設の環境などをよく把握した上で物件ニーズを掴み、購入物件決定の参考にしましょう。

また、ヤドカリ投資には税制優遇の活用が重要ですので、綿密なシミュレーションが不可欠です。住み替えのタイミングを複数想定し、大まかな計画を立てましょう。

実際に税制優遇を活用するにあたっては、複数の条件が複雑に絡み合います。しかるべき専門家へ相談することも検討するとよいでしょう。

7. まとめ

ヤドカリ投資は、金利の低い住宅ローンを利用して自宅を購入することから始める投資手法です。そのため、一般の不動産投資と比較してリスクを抑えながら資産を拡大していくことができます。

また、住宅ローンであれば不動産投資ローンよりも融資が受けやすい傾向があるため、これから不動産投資を始めたい方にとっても有益な選択肢の一つとなるでしょう。

ヤドカリ投資であっても、住宅ニーズの高い物件選びが重要になる点は、一般の不動産投資と変わりません。失敗しないためには、じゅうぶんな事前調査と綿密なシミュレーションを重ねることが大切です。

※この記事はLIFULL HOME'S 不動産投資コラムより提供を受けたものです。

参照記事

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部