2. ヤドカリ投資の流れと収益の仕組み

ヤドカリ投資の収益化には、次のような2つの流れがあります。

2.1 自宅を売却する場合

  1. 自己居住用の物件を住宅ローンで購入する
  2. 自分が居住する
  3. 物件の値上がり時点など任意のタイミングで売却
  4. ローンが残っていれば売却で得た資金から一括返済する
  5. 次の居住用物件を新たに住宅ローンで購入し、住み替える

この場合の収益は、購入した時よりも高い金額で売却することによる売却益です。

リフォームすることで物件価値を上げたり、物件の値上がりのタイミングを見計らったりすることで、売却益が出るよう工夫する必要があります。

2.2 自宅を賃貸に出す場合

  1. 自己居住用の物件を住宅ローンで購入する
  2. 自分が居住する
  3. 住宅ローン完済後、次の居住用物件を新たに住宅ローンで購入し、住み替える
  4. 1件目の物件を賃貸に出す

この場合、収益は賃貸に出した物件からの家賃収入になります。

ただし、住宅ローン利用中の居住用物件を賃貸に出すことは、転勤などのやむを得ない事情があり、それを金融機関が認めた場合を除き、原則禁止されています。

ヤドカリ投資として自宅を賃貸に出したい場合は、ローンを完済しているか、アパートローンなどへの借り換えが必要な点に注意しましょう。

2.3 返済スピードアップにより資産拡大を繰り返す

上記のような流れで2件目の物件を購入した後は、1件目の売却益や家賃収入を2件目の頭金・ローン返済に充てることで、返済スピードをアップさせることができます。

住宅ローンは、不動産投資ローンと違っていくつも併用して組むことができません。1つの住宅ローンを完済してから次……という流れになるため、資産拡大には時間がかかります。

しかし2件目以降は、1件目の物件から得られる収益を活用することで、資産拡大のスピードアップが期待できるでしょう。

2.4 ヤドカリ投資のリスクが低いとされる理由

ヤドカリ投資は、できるだけリスクを取らずに不動産投資を始めたい人に向いている投資法といわれています。

なぜなら、物件価値が値下がりしてしまったとしても、そのまま住み続けていれば大きな損失にはならないからです。

取得した物件は自己の居住用であるため、たとえ値上がりの機会がなかなか来なかったとしても、そのまま住み続けることができます。

一般的な不動産投資では、価格の下落などにより売却できないとなると、出口戦略に困ることになります。

自宅が投資対象となるヤドカリ投資においては、こうしたリスクが低いといえるでしょう。