あっという間に7月も終わりを迎えました。
時が過ぎるのを年々早く感じる方も多いでしょう。
1年を早く感じるのと同じように、「定年退職まであっという間だった」と振り返る方もいます。
まだまだ先のことに思う老後ですが、「気づくと老後の資金がない」ということがないよう、今のうちからしっかり計画をたてておきたいものです。
中でも注意しておくべきなのは、「年金からも天引きされるお金がある」ということ。
年金の目安額を把握していても、手取り額が想定より少なければ意味がありません。この機会に、公的年金からも天引きされる「税金と保険料」について知っておきましょう。
【注目記事】「老後に2000万円必要」はウソ?【役所は教えない】年金だけで暮らしていく方法とは
1. 厚生年金と国民年金とは
まずは、公的年金の基本をおさらいします。
1.1 1階部分:国民年金(老齢基礎年金)
日本に住む20~60歳未満の方が加入するのが、国民年金(老齢基礎年金)です。20歳になれば全員が自動的に加入し、保険料の支払いがスタートします。
保険料は一律で、2022年度は1万6590円(月額)と決められています。口座振替や納付書などで毎月納めたり、前納として2年分まとめて納めたりできます。
1.2 2階部分:厚生年金
公務員や会社員などは、国民年金に上乗せして厚生年金にも入ります。国民年金と違い、厚生年金の保険料は一律ではありません。
保険料は毎年の給料(報酬)に応じた等級で決まり、加入期間や納めた保険料によって、受け取れる年金額が変わってくるという仕組みです。
以上が国民年金と厚生年金の概要です。これらの公的年金に加えて、個人的に3階部分の年金を独自で作る方もいます。iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)や私的年金などがその典型です。
では、今の高齢世代はどれくらい年金を受給しているのでしょうか。最新のデータでチェックしていきましょう。
2. 「厚生年金」月平均の受給額は国民年金より多い
ここからは、厚生年金の受給額を額面で確認していきます。厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、年金の実際の受給額を見ていきましょう。
会社員や公務員だった方受給する厚生年金の金額には、国民年金部分も含まれています。
2.1 厚生年金の平均受給月額
〈全体〉平均年金月額:14万4366円
- 〈男性〉平均年金月額:16万4742円
- 〈女性〉平均年金月額:10万3808円
※国民年金の金額を含む
2.2 厚生年金月額階級別の老齢年金受給者数
- 1万円未満:10万511人
- 1万円以上~2万円未満:1万8955人
- 2万円以上~3万円未満:6万6662人
- 3万円以上~4万円未満:11万9711人
- 4万円以上~5万円未満:12万5655人
- 5万円以上~6万円未満:17万627人
- 6万円以上~7万円未満:40万1175人
- 7万円以上~8万円未満:69万4015人
- 8万円以上~9万円未満:93万4792人
- 9万円以上~10万円未満:112万5260人
- 10万円以上~11万円未満:111万9158人
- 11万円以上~12万円未満:101万8423人
- 12万円以上~13万円未満:92万6094人
- 13万円以上~14万円未満:89万7027人
- 14万円以上~15万円未満:91万3347人
- 15万円以上~16万円未満:94万5950人
- 16万円以上~17万円未満:99万4107人
- 17万円以上~18万円未満:102万4472人
- 18万円以上~19万円未満:99万4193人
- 19万円以上~20万円未満:91万6505人
- 20万円以上~21万円未満:78万1979人
- 21万円以上~22万円未満:60万7141人
- 22万円以上~23万円未満:42万5171人
- 23万円以上~24万円未満:28万9599人
- 24万円以上~25万円未満:19万4014人
- 25万円以上~26万円未満:12万3614人
- 26万円以上~27万円未満:7万6292人
- 27万円以上~28万円未満:4万5063人
- 28万円以上~29万円未満:2万2949人
- 29万円以上~30万円未満:1万951人
- 30万円以上~:1万6721人
平均を見ると、男女差が平均で約6万円あります。現役時代の収入で保険料が決まるので、個人差がどうしても出やすいのが厚生年金なのです。
また、「9万円以上~10万円未満」がボリュームゾーンとなっていることがわかります。厚生年金は国民年金より手厚いとはいえ、こちらの金額となれば、年金収入のみで老後の生活を過ごすのは不安に感じる人も多いのではないでしょうか。
3. 「国民年金」月平均の受給額はいくらか
厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、年金の実際の受給額を見ていきましょう。
まずは同調査より、国民年金の平均受給額を抽出してみます。
3.1 国民年金の平均月額
〈全体〉平均年金月額:5万6252円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9040円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4112円
3.2 国民年金月額階級別の老齢年金受給者数
- 1万円未満:7万4554人
- 1万円以上~2万円未満:29万3600人
- 2万円以上~3万円未満:92万8755人
- 3万円以上~4万円未満:284万2021人
- 4万円以上~5万円未満:466万3638人
- 5万円以上~6万円未満:776万979人
- 6万円以上~7万円未満:1483万5773人
- 7万円以上~:188万2274人
同調査からは、「6万円以上~7万円未満」の人が群を抜いて多いことがわかっています。
国民年金を受給するのは、自営業や専業主婦だった方など。働き方によって年金額が変わることを、まずは知っておきましょう。
4. 厚生年金・国民年金からは4つのお金が天引きされる
私たちが働いて給料をもらうとき、額面と手取りは違いますよね。具体的には、「税金」と「社会保険料」が天引きされます。
特に税金には要注意で、銀行預金や保険の受け取りなどでも税金が引かれます。あまり意識をすることはありませんが、「厚生年金と国民年金」からもお金が天引きされてしまうのです。
これを「特別徴収」といいます。特別徴収されるお金は、次の4つです。
4.1 厚生年金・国民年金から天引きされるお金1. 介護保険料
65歳までは健康保険料に含まれていた介護保険料ですが、65歳になると単独で支払うことになります。
年金の年額が18万円以上の場合、年金からの天引きで納めることに。
介護状態になれば介護保険料の支払いが終わると勘違いする方もいますが、介護保険料の支払いは一生涯続きます。
高齢化社会には必要な公的制度であるものの、年金生活になると痛い出費に感じる方も多いでしょう。
4.2 厚生年金・国民年金から天引きされるお金2. 健康保険料
65歳以降に会社の保険に加入しない場合、国民健康保険に加入することになります。こうした保険料は、年金からの天引きで納めます。また75歳以上になれば今度は後期高齢者医療制度に加入しますが、こちらの保険料も年金からの天引きです。
これらの天引きについては「介護保険料が特別徴収になっている」など一定の条件もあるため、普通徴収になるケースもあります。しかし、それでも支払いの義務はあるため、実質年金天引きと負担は変わらないでしょう。
4.3 厚生年金・国民年金から天引きされるお金3. 個人住民税
前年中の所得に対してかかる住民税ですが、こちらも年金生活になれば年金天引きで納めます。
保険料とは違い、収入が一定に満たなければ非課税となり、支払い義務がないケースもあるでしょう。
ただし課税される場合は、税金が年金から天引きされることを理解しておきましょう。
4.4 厚生年金・国民年金から天引きされるお金4. 所得税および復興特別所得税
給料に所得税がかかるように、一定額以上の年金にも所得税がかかります。公的年金は雑所得となり、65歳未満なら108万円、65歳以上なら158万円を超えると課税されます。
また「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律117号)」により、所得税の源泉徴収の際に併せて復興特別所得税もかかります。
ただし、障害年金や遺族年金を受給する場合は非課税です。
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2021年(令和3年)平均結果の概要」によると、65歳以上単身世帯の税金は平均6056円、保険料は平均6158円となっています。
単身世帯で約1万円が引かれるとなると、見過ごせない金額に感じますね。
5. 厚生年金や国民年金の受給額「私はいくら?」調べ方
ここまでお伝えしてきたのは、現在公的年金を受給されている方の金額です。現役世代の方が年金を受給する頃には、水準が変化しているでしょう。
だからこそ、まずはご自分の年金額を把握し、老後資金について考えてみることが大切です。ここでは年金額を確認する2つの方法を確認します。
5.1 厚生年金や国民年金の受給額を知る方法1. ねんきんネット
日本年金機構の「ねんきんネット」に登録すれば、24時間いつでも年金額などを確認できます。
マイナンバーカードを利用した「マイナポータルへの連携」か、基礎年金番号やメールアドレスを利用した「ユーザIDの取得」で登録ができます。
5.2 厚生年金や国民年金の受給額を知る方法2. ねんきん定期便
年金額は、毎月誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」で確認することもできます。
50歳未満の方は「これまでの加入実績に応じた年金額」が、50歳以上になると「年額の見込額」が記載されています。
また35歳、45歳、59歳という節目の年には全期間の年金記録が記された封書が送られてきます。ぜひ目を通しておきましょう。
こうした方法で年金の受給額を知っておけば、老後のマネープランをより具体的に考えることができます。
6. 厚生年金・国民年金だけでは不安な老後、自分でできる対策は
平均通りの厚生年金が夫婦で受給できるとなると、夫が16万円、妻が10万円の合計26万円です。
しかし夫は年間192万円なので課税され、手取りは額面通りとはいかないでしょう。
さらに健康保険や介護保険などの社会保険料も一生涯天引きされます。
額面と手取りの両方を考えて、公的年金だけで暮らせるのか考えてみましょう。老後が不安なら、自力で老後資金をつくる姿勢も必要です。
年金の3階部分を検討してみてもいいでしょう。民間の個人年金保険、あるいはiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)などで備える方法があります。
その他、預貯金に資産運用を取り入れるのも一つでしょう。
早く取り組むほど、選択肢は増えます。まずは今後のマネープランをじっくり考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2021年(令和3年)平均結果の概要」
- 日本年金機構「Q.年金から所得税および復興特別所得税が源泉徴収される対象となる人は、どのような人でしょうか。」
- 日本年金機構「ねんきんネット」
- 日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」





