3. 住宅ローンの繰り上げ返済のやり方と注意点

住宅ローンの繰り上げ返済は、利息の軽減や総返済額の減少などの「効果」以外のところにも着目して判断することが大切です。

3.1 住宅ローン「繰り上げ返済」の注意点1. やり方は金融機関によって異なる

フラット35では、繰り上げて返済できる額は100万円以上。インターネットによる一部繰り上げ返済は10万円以上から可能です。いずれも、手数料はかかりません。

ただし、金融機関によっては繰り上げ返済手数料がかかったり、1万円など少額から繰り上げ返済が可能だったり、条件もやり方も様々。金利タイプごとに手数料を変えている場合もあります。

繰り上げ返済前には必ず、住宅ローンを借り入れている金融機関のやり方・条件・手数料を確認しましょう。

3.2 住宅ローン「繰り上げ返済」の注意点2. 金利タイプの違いを理解しておく

全期間固定金利の場合は、借り入れ当初に元金の減り方や利息がわかりますが、変動金利や固定期間選択型は金利変動があるため、金利上昇リスクを踏まえて繰り上げ返済の判断をする必要があります。

とくに、返済額が急激に変わらないための「5年ルール」や「1.25倍ルール」の適用がない固定期間選択型ではご注意を。固定金利期間中、安易に繰り上げ返済してしまうと、固定期間終了時に返済額が大幅に上がった場合、返済に対応できなくなってしまう可能性があります。

一概にはいえませんが、たとえば固定期間終了時の金利を見てから繰り上げ返済をしたり、金利上昇リスクが懸念される局面には期間短縮型ではなく返済額軽減型の繰り上げ返済をしたりするなど、適切な判断が必要です。

3.3 住宅ローン「繰り上げ返済」の注意点3. 期間を短縮しすぎない

「返済額軽減型」の繰り上げ返済より「期間短縮型」のほうが利息軽減効果は高いものです。

しかし、一度、短縮した期間を延長することは容易ではありません。住宅ローンを借り換える場合にも、返済残存期間の範囲で返済期間を設定するのが一般的です。

繰り上げ返済後、病気や減収などにより住宅ローンの返済が厳しくなることもゼロとは言い切れません。総返済額や利息の軽減が図れるのは魅力的ではありますが、将来を見据えた返済計画を立てることが大切です。

3.4 住宅ローン「繰り上げ返済」の注意点4. 繰り上げ返済と団信の関係

団体信用生命保険(団信)は、債務者(住宅ローンを契約している人)に万一のことがあったときに残債が弁済される保障制度です。「残債がゼロになる保険」ですから、繰り上げ返済によって残債を減らせば、その分、補償額も減るということは認識しておきましょう。