3. レントロールのチェックポイント
ここからは、不動産投資を始める際に、レントロールで具体的にどこを見ればよいのかというチェックポイントを紹介します。
3.1 ポイント①賃料は相場の範囲内で設定されているか
レントロールに記載されている、各部屋の賃料が、同じエリアの同条件の物件における相場と大きくかけ離れていないかどうかという点は、必ず確認しておきたい部分です。
賃料は、部屋を探しているユーザーにとって、物件を決める際の大きな判断材料となります。そのため、賃料が相場よりも高い場合は、なかなか入居者は集まらないでしょう。
オーナーとしては、できるだけ収益を得たいため、賃料は高く設定したいですよね。しかし、賃料が高いがゆえに入居者が集まらなくては意味がありません。
効率的に収益を得るためには、オーナーにとっての収入と、入居者にとっての支出の間でバランスのとれた賃料の物件を選ぶことが大切です。
そのため、レントロールに記載されている賃料が、相場の範囲内で適切な料金となっていることを確認しておきましょう。
3.2 ポイント②それぞれの入居者の入居期間はどれぐらいか
入居者によって、その物件に住んでいる期間はバラバラです。
昨年入居を始めたばかりという人もいれば、契約を更新し続けて10年以上住んでいるという人もなかにはいるかもしれません。
この入居期間についても、レントロールで事前に確認しておきたいところです。
物件を購入する段階では満室でも、運用を続けていくうえで退去者が出るということは必ずと言っていいほど避けては通ることができないでしょう。
退去者が出ると、次の入居者が決まるまでは一時的に家賃収入が減るというだけでなく、部屋の原状回復や設備の交換を行うことになるため、オーナーの費用負担が発生します。
長く入居されていた部屋ほど、修繕箇所も多くなるため、それだけオーナーが負担する費用も高くなります。
そのため、レントロールでそれぞれの部屋の入居期間を確認したうえで、長く入居している部屋で退去者が出た場合の費用負担も含めてキャッシュフローを計算するとよいでしょう。
3.3 ポイント③特定の法人による借り上げは多くないか
レントロールでは、契約者は個人なのか、それとも法人なのかといった属性も確認できます。
このとき、法人が契約している部屋が多い場合は、注意が必要です。
なぜなら、法人が複数の部屋を借りている場合は、その法人が万が一賃貸契約を解除することになった場合、一度に複数の部屋が空室になるためです。
そうなると、家賃収入が大幅に減るだけでなく、複数の部屋の原状回復や設備の修繕で支出が発生する可能性もあります。
一度に複数の部屋が空室になると、キャッシュフローに大きく影響が出るため、特に初心者の場合、法人が複数の部屋を契約している物件は避けたほうが無難かもしれません。
3.4 ポイント④共益費は入居者とオーナーどちらが負担しているのか
共用部の電気代や清掃費用など、いわゆる共益費に該当する費用は、基本的には入居者が毎月の家賃とともに支払っています。
しかし、まれにオーナーが支払っているという物件もあるため、共益費の負担は入居者とオーナーどちらになるのかもレントロールで確認しましょう。
万が一、購入した物件でオーナーが共益費を負担することになっていたという場合は、当然、毎月の家賃収入から共益費がマイナスされます。
想定していた家賃収入から大幅に減ってしまうという可能性もあるため、入居者が共益費を負担する物件であることを確認しておくことをおすすめします。
3.5 ポイント⑤入居開始日の時期が偏っていないか
不動産オーナーや不動産仲介会社によっては、物件を売りたいがためにレントロールの偽装が行われている場合があるため、注意が必要です。
たとえば、満室の物件であるほうが需要は高いため、実際は空室が多い物件であるにもかかわらず、満室であるかのように偽装されているという場合があるのです。
レントロールの偽装を見極めるためのポイントとして、各部屋の入居開始日があります。この入居開始日が、特定の時期に偏っていないかどうかを確認しましょう。
なぜなら、実際はなかなか満室にならない物件であるにもかかわらず、一時的に満室になっているかのような状況がつくられている可能性があるためです。
とはいえ、3月や4月は一般的に引越しシーズンとされているため、この時期の入居者が多い場合はそこまで疑う必要はないでしょう。
3~4月以外の特定の時期に入居者が多い場合は、念のため、近隣エリアの別の不動産仲介会社に相談し、本当に需要のあるエリアなのかどうかを確認することをおすすめします。