1. 不動産オーナーが会社を設立するメリット

ここでは、不動産オーナーが会社を設立するメリットについて解説します。法人化のメリットとご自身の現状を踏まえて検討してみましょう。

1.1 所得の分散ができる

法人化すると、法人から自分自身や親族に役員報酬を支払うことで所得の分散をすることができるようになります。

法人から支払われた役員報酬は給与所得とされるため、給与から給与所得控除を差し引いた金額に対して課税されることになるのです。したがって、給与所得控除の分課税される所得が少なくなるので節税につながるといえるでしょう。

1.2 経費計上できる範囲が広がる

個人よりも法人の方が経費計上できる範囲が広くなります。個人の場合、支出がすべて事業を目的としたものであるとは限りません。

しかし、法人の場合は大前提として営利目的で活動しています。そのため、原則として支出はすべて事業を目的としたものと考えられるため、経費計上できる範囲も広くなるのです。

たとえば、先ほどご紹介した親族への役員報酬も法人化することにより経費計上できるようになります。

その他、法人の場合は要件を満たせば生命保険料を全額経費計上できることなども挙げられます。

経費計上できる範囲が広がればその分所得を抑えることにもつながるため、メリットであるといえるでしょう。

1.3 損失の繰越期間が長くなる

不動産投資では、空室が増えたり、突発的な修繕でまとまった費用が必要になったりするなど、想定外の費用が発生することがあります。

そのため、年度によっては収入よりも支出が上回る「赤字」になってしまうこともあるでしょう。さらに、減価償却費の計上による「帳簿上の赤字」も考えられます。

法人化した場合、赤字での損失を最大10年間繰り越すことが可能です。長期にわたって損失の繰り越しができるため、翌年以降の節税につなげることができます。

なお、青色申告をする個人事業主の場合、損失の繰越期間は最大3年間です。法人化することで、より長期的な節税効果を得やすくなるでしょう。

1.4 社会的信用を得やすい

一般的に、個人事業主よりも、会社名や役員の名前、資本金などの情報が登記される法人の方が社会的信用を得やすくなります。

社会的信用があると金融機関などからの資金調達がしやすくなるため、新たに不動産を購入したり、事業を拡大したりしやすくなるメリットがあるのです。