6月30日にボーナスが支給された方もいるでしょう。毎月の給与以外の収入はうれしくなるものです。
しかし、年金生活になればそうもいきません。毎月決まった収入額となるので、昨今の急激な物価上昇は痛手となるシニアも多いのです。
公的年金には国民年金と厚生年金がありますが、2階部分の厚生年金には会社員や公務員しか加入できません。
自営業者や主婦などは国民年金だけの受け取りになるため、受給額は少なくなるでしょう。この記事では、少しでも年金を上乗せする方法をご紹介します。
貯蓄での備えにプラスして、できることから実践してみてください。
【注目記事】「厚生年金と国民年金」令和4年6月支給分から引き下げへ
1. そもそも日本の公的年金のしくみとは
日本の年金制度は、下図のとおり2階建て構造になっています。
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出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成
1階の国民年金(基礎年金)には日本に住む20~60歳未満のすべての人が加入し、働き方によって以下の3つに分けられます。
- 第1号被保険者:自営業、20歳以上の学生、無職など
- 第2号被保険者:会社員・公務員など
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養される配偶者
このうち第2号被保険者は、2階部分である厚生年金にも加入します。将来は国民年金と厚生年金が受給できるため、一般的に年金額は手厚くなると言われます。
一方、第1号被保険者や第3号被保険者は国民年金のみの受給になります。とくに自営業者の場合は世帯でみた年金収入も少なくなる傾向にあるため、年金の上乗せが必要となるでしょう。
2. 現在受給されている国民年金は月平均いくらなのか
では、今のシニアは実際にいくらの国民年金を受給しているのでしょうか。
厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の受給者は3328万1594人でした。
実際の受給額を見てみます。
2.1 「国民年金」月額階級別の老齢年金受給者数
全体平均月額:5万6252円
- 男子平均月額:5万9040円
- 女子平均月額:5万4112円
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出所:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 1万円未満:7万4554人
- 1万円以上~2万円未満:29万3600人
- 2万円以上~3万円未満:92万8755人
- 3万円以上~4万円未満:284万2021人
- 4万円以上~5万円未満:466万3638人
- 5万円以上~6万円未満:776万979人
- 6万円以上~7万円未満:1483万5773人
- 7万円以上~:188万2274人
平均は5万6252円で、ボリュームゾーンは6万円以上~7万円未満です。夫婦ともに国民年金の場合、月収は約12万円ということになります。
夫婦世帯ではなく単身世帯も多いので、この金額にいかに上乗せできるのかが、自営業者にとっての課題です。
ここからは国民年金の受給額をアップできる方法を3つご紹介します。
3. 年金受給額アップ術1:繰下げ受給
年金の受給額を手っ取り早くあげたい場合、年金の「繰下げ受給」が選択肢となります。
繰下げ受給とは、本来65歳から受給する年金の受け取りを遅らせることで、受給額をアップさせる方法です。
具体的には受給を1カ月遅らせるごとに0.7%増額され、1年間遅らせると増額率は8.4%にもなります。
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出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」をもとにLIMO編集部作成
最長で75歳まで受給を遅らせることができるので、増額率は84%にもなります。
もし国民年金の月額が6万円の場合、最大11万400円まで増やせる計算です。夫婦が同じ受給額と仮定すると、合計で22万800円となります。
ただし「受給額が増えるのはうれしいけど、早く亡くなったら損しそう」と心配になる方はいます。
そちらに加え、繰り下げ受給には「それまで年金収入がない」「受給額が増えた分、税金や保険料の負担も高まる」というデメリットがあります。
メリットとデメリットを慎重に比較する必要があるでしょう。
4. 年金受給額アップ術2:国民年金保険料を追納する
国民年金の追納とは、これまで未納や免除・猶予を受けてきた保険料を後から納めることです。
例えば学生時代に「学生納付特例制度」を利用した方もいるでしょう。こうした未納・免除分は、定められた期間に限り遡って追納することができます。
未納期間や追納対象分は、ねんきんネットにログインすることで確認できます。まずは自分の納付状況を確認してみましょう。
5. 年金受給額アップ術3:iDeCoで自分の年金を作る
会社員や公務員等は「厚生年金」が受け取れますが、自営業者は「国民年金」しか受給できません。
そこで自分で年金を作る方法として、「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)があります。自分で掛け金を拠出し、運用することで原則60歳以降に年金が受け取れるという制度です。
iDeCoのメリットは、「掛け金が所得控除になる」「運用益は非課税」「年金を受け取るときにも控除がある」と3回も税制メリットが享受できる点です。
またiDeCoに限らず、つみたてNISAや民間の個人年金保険などで独自に備える方は多いです。
6. まとめにかえて
年金を上乗せする方法をご紹介しました。
年金受給額のアップを考えるなら、他にも「国民年金基金への加入」や「付加保険料の納付」など、検討したい方法はたくさんあります。
それぞれ掛け金の上限や運用リスク等もあるため、メリットデメリットに加えて「とれるリスク」も加味しながら、検討してみましょう。
同時に将来へ向けた貯蓄も重要となります。老後までの期間を逆算し、本当に必要な金額を作るためにも、早めに動き始めましょう。
参考資料
- 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)
- 厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」
太田 彩子
