日本の離婚率は35%前後と言われます。厚生労働省の「令和2年 人口動態統計」によると、2020年の離婚件数は19万3253件にものぼりました。
また夫が50歳以上に離婚したのは3万4478件、妻が50歳以上に離婚したのは2万5093件と、決して少なくない件数となっています。
離婚において出てくるのがお金の問題。そして忘れてはならないのが、「離婚後の年金」についてです。
今回は
- 離婚後の年金はどうなるのか
- 離婚後の年金の取り扱いについて、厚生年金と国民年金で違いはあるのか
といったテーマについて、くわしく解説します。
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1. まずは日本の年金制度を理解する
日本の年金は皆年金制度となり、誰もが何らかの年金に加入しています。
1階部分である「国民年金」には日本に住む20~60歳未満のすべての人が加入し、2階部分の「厚生年金」には公務員や会社員等が上乗せして加入します。
この点を踏まえ、離婚後の年金について詳しくみていきましょう。
2. 離婚後の「年金分割制度」とは
年金にはそれぞれ個別で加入するため、離婚しても影響がないと考える方もいます。しかしこれには例外があり、「会社員や公務員である夫」と「専業主婦や扶養内パートの妻」という夫婦世帯では、独自の分割制度が用意されているのです。
本来、専業主婦や扶養内で働くパート主婦は1階の国民年金にしか加入しません。夫が会社員や公務員の場合、厚生年金にも加入するので手厚い年金となります。
もし離婚をしてしまえば、夫のみが手厚い年金を受け取ることになり、妻の生活が困窮するリスクが出てしまいます。こうした背景から、2階の厚生年金部分を「分割」する制度が用意されているのです。
3. 厚生年金に用意された「分割制度」
年金の分割制度とは、「厚生年金保険および共済年金の部分」を「婚姻期間中の保険料納付実績」として分割する制度です。
「婚姻期間中」「保険料納付実績」に限定されるのがポイントです。
結婚前の期間は分割対象とはならず、また「これまでに保険料をこれだけ納付してきました」という納付実績を分割するものです。将来受け取る予定の年金金額を分割する訳ではない点に注意しましょう。
また、夫が自営業などで「第1号被保険者」だった場合、そもそも厚生年金には加入していないため対象外です。あくまでも2階部分である「厚生年金」が分割対象であることを覚えておきましょう。
4. 厚生年金の分割制度には2種類ある
具体的に年金の分割制度を深掘りしてみましょう。分割には2つの種類があります。
4.1 合意分割制度
合意分割制度とは、基本的に分割割合を話し合いで決定し(話し合いがつかない場合は調停や裁判をする)、1/2を上限に婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を分割するというものです。
条件は次の3点です。
- 婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること(共済組合などの組合員である期間を含む)
- 夫婦双方の合意または裁判手続により按分割合を定めたこと(合意がまとまらない場合は、当事者の一方の求めにより、裁判所が按分割合を定めることが可能)
- 請求期限(原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内)を経過していないこと
これらの条件を満たせば、第3号被保険者である妻は、自分の国民年金(基礎年金)に「分割された標準報酬月額・標準賞与額に応じた厚生年金額」を加算して受取ることができます。
4.2 3号分割制度
3号分割制度とは、合意分割制度では合意がまとまらないケースのため、第3号被保険者を守る観点から設けられた制度です。
2008年5月1日以降に離婚をした方は、第3号被保険者からの請求により、結婚していた間の相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)の1/2を分割することができます。
強制的に1/2と決められた点がポイントです。条件は次のとおり。
- 婚姻期間中に2008年4月1日以後の国民年金の第3号被保険者期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること(共済組合などの組合員である期間を含む)
- 請求期限(原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内)を経過していないこと
この2つの条件を満たせば、合意分割制度と同様、自分の国民年金に相当額を加算して受取ることができます。
4.3 本人の年金受給資格も必須
ただし、年金受給を受ける本人が、年金受給資格がない(保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間の合計が10年以上にない場合など)場合には、せっかく年金分割をしても年金が受け取れないことになるため注意が必要です。
5. 国民年金のみの妻は「年金格差」に備える
厚生年金と国民年金には、その受給額の決まり方から年金格差があります。厚生年金は保険料を上乗せして納付するため、受給額に差が出るのは当然といえます。
しかし離婚後、シングルとなった場合の収入減は夫婦でいた時よりも更に重くのしかかります。
年金分割制度を正しく知ることで、年金格差としっかり向き合っておきましょう。また夫が自営業等で国民年金しかない場合は、そもそも年金分割の対象外となります。
この場合は、国民年金基金やiDeCoといった税制優遇措置のある仕組みで、年金受給額を増やす自助努力をおすすめいたします。

