4. 厚生年金は「加入期間」も重要
もう一度、厚生年金が決まる計算式のうち「報酬比例年金額」の計算方法を見てみましょう。
報酬比例年金額=平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以後の加入月数
ここでは「加入月数」がポイントです。被保険者として加入し、保険料を支払った期間が長いほど年金額もあがります。
つまり、高年収の人が1年加入しただけでは、それより年収の低い人が40年間加入した年金額よりも少ない可能性もあるといえます。
5. 厚生年金には上限がある
保険料を決めるもととなる「標準報酬月額」は、給与額を等級ごとに区切った月額のことです。
基本的に月額があがるほどに「標準報酬月額」もあがりますが、その上限は65万円に決められています。ここに属するのは月収が63万5000円以上の人なので、それを超える人はどれだけ稼いでも変わらないことになります。
賞与がある場合でも、「1回150万円のボーナスを年に3回」が上限となるので、この後どれだけ稼いでも将来の年金額は変わらないのです。
仮に同じ期間働いたとして、年収が1200万円の人と年収3000万円の人が同じ年金額と考えると、やはり「年収と年金は比例する」とは言えなくなります。
執筆者
株式会社ナビゲータープラットフォーム メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員
京都教育大学卒業。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部で、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
はたらく世代のお金の診断・相談サービスを行うマネイロでは、「【計算例付】厚生年金保険料はどのように決まる?ケース別算出方法や受給額を解説」など、お金や年金制度にまつわる記事を発信中。京都府出身。(2024年3月18日更新)