3. 厚生年金は年収ではなく「平均標準報酬額」で決まる

続いて2階部分の「厚生年金」に注目しましょう。こちらは報酬比例制なので、広い意味で見ると「年収と年金額は比例する」と言えそうです。

ただし、厳密に言うと「年収」をもとに算定しているわけではないので、注意が必要です。

まずは厚生年金の受給額の計算式を確認しましょう。

年金額=報酬比例年金額+経過的加算+加給年金額

経過的加算と加給年金は個々の状況によって異なるので、ここでは割愛します。計算式のうち、「報酬比例年金額」に注目しましょう。

2003年4月以降、この「報酬比例年金額」は次のように計算することと決められました。

報酬比例年金額平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以後の加入月数

ここで「平均標準報酬額」が出てくるのがポイントです。これを「年収」と捉えてしまいがちですが、正確には少しずれが生じます。

平均標準報酬額とは「2003年4月以後の厚生年金被保険者期間に係る「各月の標準報酬月額の総額」と「標準賞与額の総額」の合計額をその厚生年金被保険者期間の月数で除した額」と定義されます。

難しい言葉が並びますが、このもととなる「標準報酬月額」は4~6月の給与の平均で決まるため、必ずしも年収と一致しません。7月以降に残業がなくなり給与が減る人もいれば、7月以降に昇給して給与がアップする人もいますよね。

他にもいろいろな要素がありますが、必ずしも年収と一致するわけではないことに注意しましょう。