三菱UFJリサーチ&コンサルティングの予想によると、2022年夏の国家公務員(管理職および非常勤を除く一般行政職)のボーナス(期末・勤勉手当)の平均支給額は前年比-11.5%の58万4900円と、大きく減少することが予想されています。

「安定している」というイメージでも、給与の変動はあるようですね。では年金の場合、年金はいくら受給しているのでしょうか。

公務員には独自の3階建て年金がありましたが、実は廃止されています。しばしば官民格差が話題となりますが、正しい情報を知っておきましょう。

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1. 2015年「公務員の年金」は厚生年金に統合

かつて、公務員の年金制度といえば3階建ての手厚い制度でした。しかし現在は会社員と同じ厚生年金に統合されています。

1.1 2015年以前の公務員の年金制度

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出所:国家公務員共済組合連合会「共済年金は厚生年金に統一されます」

出所:国家公務員共済組合連合会「共済年金は厚生年金に統一されます」

  • 1階部分:老齢基礎年金。日本に住む20~60歳未満のすべての人が加入する年金
  • 2階部分:退職共済年金。会社員の場合は厚生年金
  • 3階部分:職域部分。会社員の場合は企業年金

2. 2015年以降の公務員の年金制度

2015年(平成27年)10月、共済年金は厚生年金に統一されました。2022年現在では、公務員も会社員も同じ「厚生年金」に加入しています。

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出所:国家公務員共済組合連合会「共済年金は厚生年金に統一されます」

出所:国家公務員共済組合連合会「共済年金は厚生年金に統一されます」

改正の要点は次のとおりです。

  • 2階部分は会社員と同じ厚生年金になった
  • 3階の職域部分は廃止となり、代わりに「年金払い退職給付」が新設された
  • 保険料の料率も段階的に引き上げ、2018年に厚生年金の保険料率18.3%に統一された

つまり公務員でも会社員でも、同じ給与水準であれば同じ厚生年金受給額になったのです。高待遇であった公務員独自の有利な部分が廃止され、不公平である制度のひずみが解消されたともいえます。

ただし、2015年(平成27年)10月以前に共済年金に加入していた公務員は、それまで納めた保険料に応じた年金は受け取れます。

今のシニア世代は3階建ての時代に加入していた世代なので、まだ優遇された年金を受給しているといえます。純粋に会社員の水準と統一されるのは、まだまだ先になると言えるでしょう。

3. 【3階部分】公務員の「職域年金(加算)」が廃止に!

公務員独自の加算であった「職域年金(職域加算)」は廃止されましたが、統合前に加入していた方はまだ受け取れます。そのため、こちらの制度についてもう少し深掘りしましょう。

旧職域加算退職給付は次のように計算できます。

3.1 平成15年3月31日までの期間

平均給料月額 × 1.425/1000(※) × 平成15年3月までの組合員期間の月数
※被用者年金一元化前後の組合員期間が20年未満の方は0.713/1000

3.2 平成15年4月1日から平成27年9月30日までの期間

平均給与月額 × 1.096/1000(※) ×平成15年4月~平成27年9月の組合員期間の月数
※被用者年金一元化前後の組合員期間が20年未満の方は0.548/1000

旧制度に加入していた期間がある場合、上記で求めた金額が厚生年金に上乗せして支給されます。

さらに2015年(平成27年)10月以降に関しても、新たに「年金払い退職給付」が新設されています。

こちらは任意の制度なので、厳密には3階建てではなくなったとされます。しかし会社員にとっての「企業年金」のような位置づけで、掛け金を払うことで3階部分を独自に備えることができるのです。

つまり、2015年(平成27年)9月までの期間分の「職域加算」と、それ以降の「年金払い退職給付」がそれぞれ支給されることになります。

2015年(平成27年)10月以降に新たに公務員になった方は、年金払い退職給付のみが支給されるということですね。

4. 3階部分の「年金払い退職給付」を深掘り

「年金払い退職給付」とは、民間の企業年金に相当する労使折半の年金です。こちらは退職手当と2本建てで支給されます。

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出所:国家公務員共済組合連合会「共済年金は厚生年金に統一されます」

出所:国家公務員共済組合連合会「共済年金は厚生年金に統一されます」

年金払い退職給付の半分は有期年金、もう半分は終身年金として受け取れます。

  • 有期年金:10年か20年かを選択する。途中で死亡した場合、残りの期間を遺族が受給する
  • 終身年金:一生涯受給し、死亡した時点で支給が終了する

年金払い退職給付は、一時金として一括受給することも可能です。

具体的な金額は、毎月の標準報酬月額および標準期末手当等の額に付与率(労使あわせて1.5%を上限)を乗じた「付与額」を毎月積み立て、利息を加えた「給付算定基礎額」を基に算定されます。

この年金払い退職給付があることにより保険料負担は高まりましたが、公務員の年金は職域年金廃止前と変わらず、実質3階建てを保てているのです。

5. 官民の格差は「0.06%」という事実

公務員の「年金」についてまとめてきました。3階建てが廃止になり、会社員と同じ厚生年金に統合されています。しかし、「統合前に加入していた部分が有効であること」また「独自の3階部分が新設された」点から、まだしばらくは格差が続くと予想されます。

最後に人事院から2022年4月21日に公表された「民間の退職金及び企業年金の実態調査の結果並びに国家公務員の退職給付に係る本院の見解について」【最新データ】から、民間と国家公務員の退職給付額を比較してみましょう。

5.1 民間 2405万5000円 

内訳

  • 企業年金現価額:1257万5000円
  • 退職一時金:1148万円

5.2 公務 2407万円

内訳

  • 共済年金給付現価額:222万円
  • 退職手当:2185万円

公務が民間を1万5000円(0.06%)上回っています。

若干上回ってはいるものの、実は前回調査の官民格差では「3.08%」と報告があり、確実に格差は解消に向かっていることがわかります。

格差が減少したものの、両者の金額は前回より減少しています。物価の上昇に合わせ、これらの支給金額は本来上昇することが望まれます。

6. 年金以外にも大切な視点

公務員の年金制度は2015年に厚生年金へ統合されたものの、旧制度に加入していた分は支給されます。

こうした背景から、退職給付に関する実態調査を見る限り、官民にはいまだ格差がある現状もわかりました。夫婦ともに公務員というケースも珍しくなく、世帯収入としては「恵まれている」というのは一理あります。

ただ、公務員であっても「年金と退職金で将来は安定」とは言い切れません。

官民格差の是正を目指しているため、今後の格差はもっと埋まることが予想されます。また働き方が多様化する現代、公務員であっても転職することは珍しくなくなりました。

公的な年金制度に頼りすぎることなく、個人でも老後の備えを進めることは「公務員」「会社員」関係なく必要となります。老後資金を視野に入れ、積極的に資産形成をしていきたいですね。

参考資料

太田 彩子