5. 官民の格差は「0.06%」という事実

公務員の「年金」についてまとめてきました。3階建てが廃止になり、会社員と同じ厚生年金に統合されています。しかし、「統合前に加入していた部分が有効であること」また「独自の3階部分が新設された」点から、まだしばらくは格差が続くと予想されます。

最後に人事院から2022年4月21日に公表された「民間の退職金及び企業年金の実態調査の結果並びに国家公務員の退職給付に係る本院の見解について」【最新データ】から、民間と国家公務員の退職給付額を比較してみましょう。

5.1 民間 2405万5000円 

内訳

  • 企業年金現価額:1257万5000円
  • 退職一時金:1148万円

5.2 公務 2407万円

内訳

  • 共済年金給付現価額:222万円
  • 退職手当:2185万円

公務が民間を1万5000円(0.06%)上回っています。

若干上回ってはいるものの、実は前回調査の官民格差では「3.08%」と報告があり、確実に格差は解消に向かっていることがわかります。

格差が減少したものの、両者の金額は前回より減少しています。物価の上昇に合わせ、これらの支給金額は本来上昇することが望まれます。

6. 年金以外にも大切な視点

公務員の年金制度は2015年に厚生年金へ統合されたものの、旧制度に加入していた分は支給されます。

こうした背景から、退職給付に関する実態調査を見る限り、官民にはいまだ格差がある現状もわかりました。夫婦ともに公務員というケースも珍しくなく、世帯収入としては「恵まれている」というのは一理あります。

ただ、公務員であっても「年金と退職金で将来は安定」とは言い切れません。

官民格差の是正を目指しているため、今後の格差はもっと埋まることが予想されます。また働き方が多様化する現代、公務員であっても転職することは珍しくなくなりました。

公的な年金制度に頼りすぎることなく、個人でも老後の備えを進めることは「公務員」「会社員」関係なく必要となります。老後資金を視野に入れ、積極的に資産形成をしていきたいですね。

参考資料

太田 彩子