大学の常識は世間の常識と大きく異なっています。優劣の問題ではなく、とにかく違うのです(経済評論家、元大学教授 塚崎公義)。

大学は組織の目的が不明確

大学の常識と世間の常識には、大きな乖離があります。まず、組織の目的が不明確なことです。私企業であれば利潤の追求という目的が明確であり、そのために何をすべきかを考えれば良いわけですが、大学は存在目的がそもそも不明確なのです。

大学教授の仕事は研究と教育と学内行政(会社員的な仕事)です。学内行政は入試業務や卒業判定等々、大学の組織を維持していくためのものですから、本稿では省略します。

大学教授が研究している内容を講義しているわけではないので、学生からの授業料は教育に、税金は研究に使われていると考えられます。そうだとして、研究結果が税金の使い道として相応しいと言えるのでしょうか。

研究は、真理を探究するものですが、それが「役にたつか否か」はあまり重要視されていないようです。そもそも「役に立つ」というのが日本経済の発展に資する、という事でもないようです。そうした事を考えると、税金の投入先を決めるに際し、大学の予算は他の予算項目と大きな違いがあるようです。

教育はどうでしょうか。経済学等を学ぶために大学に来ている学生よりも大学卒の資格を得るために来ている学生が圧倒的でしょうし、保護者もそうでしょう。では、教授は何のために教育をしているのでしょうか。

「日本経済に貢献できる人材を育ててくれ」といった話は雇い主である大学からは聞いた覚えがありませんが。