親世代よりも上下関係を感じる機会が少ない

親もかつて「中1ギャップ」を経験しているとはいえ、昔と今とでは子どもを取り巻く環境も異なります。

「子どもだから新しい環境にすぐ馴染む」というわけでもなく、個人差もあります。また、多くの中学校は複数の小学校学区の生徒が集まり、思春期に突入しつつある年齢で小学1年生の頃と同じように「みんな仲良し」を求めるのは無理があります。

そして部活動特有の上下関係も始まりますが、今の子ども達は全般的に複数人の兄弟姉妹がいる家庭、近所の子ども達が集まって遊ぶ機会も減っています。

つまり「年長者がリーダーシップをとりつつ遊ぶ」「遊びを通じて年長者と接して立ち振る舞いを学ぶ」を経験している子ばかりではないのです。

小さい頃から上下関係を感じる機会が少ないまま中学校に進学すると、上級生と話をする時は敬語でなければいけなくなり、さらに上下関係の厳しい部活動では「先輩の言うことは絶対」です。

中学校生活が始まると小学校時代にはほとんどない先輩後輩といった上下関係に直面し、精神的な負担が増えることもあります。

こうしたしきたりは親世代の頃から根本的に変わっていません。子どもに対して「中学校では上下関係があるのは当たり前」と言いたくなりますが、親と今の子ども達が辿る経験も大きく変化しています。

親の体験をそのまま伝えるのではなく、時代の流れを考慮し小学校との違いを話し合うことも必要です。