暦の上では春とはいえ、まだ寒さが残る2月。確定申告の準備に追われる方も多い時期ですが、同時に新年度の年金額がどうなるのか気になる季節でもあります。

老後の生活設計において、公的年金がいくら受け取れるのかは、誰にとっても重要な関心事でしょう。

総務省統計局が公表した「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯における1カ月の消費支出は平均で14万9286円です。

これに対し、税金などを差し引いた可処分所得は12万1469円となっており、毎月およそ2万8000円が不足する計算になります。

このデータを見ると、老後の生活を安定させるためには「月額15万円」が一つの目安となりそうです。

では、実際に年金を月15万円以上受給している人は、どのくらいの割合いるのでしょうか。この記事では、公的な資料をもとに、年金の受給実態を詳しく見ていきます。

1. 日本の公的年金制度、基本の「2階建て構造」とは?

日本の公的年金制度は、基礎部分である「国民年金」と、その上乗せ部分である「厚生年金」から成る「2階建て」で構成されています。

それぞれの年金制度が持つ基本的な特徴について確認していきましょう。

1.1 国民年金と厚生年金、それぞれの役割

1階部分:国民年金(基礎年金)の概要

  • 加入対象:原則として日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての方が対象です。
  • 保険料:所得に関係なく一律の金額が設定されており、毎年度見直されます(※1)。
  • 受給額:保険料を40年間(480カ月)すべて納付した場合、65歳から満額の老齢基礎年金が支給されます(※2)。未納期間が存在すると、その期間に応じて満額から減額調整されます。

※1 2025年度における国民年金保険料は、月額1万7510円です。
※2 2025年度の老齢基礎年金(満額)は、月額6万9308円です。

2階部分:厚生年金の仕組み

  • 加入対象:会社員や公務員のほか、一定の条件を満たすパートタイマーなどが国民年金に上乗せして加入します(※3)。
  • 保険料:収入(標準報酬月額・標準賞与額)に基づいて決定されます(※4)。
  • 受給額:加入期間の長さや納付した保険料の総額によって、一人ひとり異なります。

厚生年金は、主に企業に勤務する方や公務員が国民年金に加えて加入する制度です。このように、国民年金と厚生年金では加入条件や保険料の算定方法、受給額の計算方法が異なるため、現役時代の働き方が将来の年金額に影響を与えます。

また、公的年金の支給額は、物価や現役世代の賃金動向に応じて毎年改定される点も、理解しておくべき重要なポイントです。

※3 特定適用事業所とは、厚生年金保険の被保険者数が常時51人以上いる企業などを指します。
※4 厚生年金の保険料は、標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を掛けて算出されます。

2. 【2026年度】厚生年金(報酬比例部分)は2.0%、国民年金(基礎年金)は1.9%の引き上げへ

公的年金の支給額は、物価や現役世代の賃金の変動を考慮して、毎年見直される仕組みになっています。

2026年1月23日に厚生労働省が公表した情報によると、2026年度(令和8年度)の年金額は、4月分から国民年金(基礎年金)が+1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が+2.0%の改定率となりました。

  • 国民年金(老齢基礎年金・満額):月額7万608円(1人分 ※1)
  • 厚生年金(夫婦2人分のモデルケース):月額23万7279円(夫婦2人分 ※2)

※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(前年度比+1300円)です。
※2 平均的な収入(賞与を含む月額換算で45万5000円)の男性が40年間就業した場合に受け取り始める年金額(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金満額)の給付水準です。

国民年金のみを受給する場合、保険料を全期間納付した満額(※3)であっても、月額は7万円を下回る水準です。

仮に受給開始を75歳まで遅らせる「繰下げ受給」(※4)を活用したとしても、月額13万円には届かない計算になります。

※3 国民年金の保険料を40年間(480カ月)納付した場合に、65歳から受け取れる満額の年金額を指します。
※4 繰下げ受給とは、年金の受け取り開始を66歳から75歳までの間で遅らせる制度です。1カ月遅らせるごとに0.7%増額され、75歳開始では最大84%増額されます。