【富裕層の相続】生命保険の非課税枠を活用する
富裕層の方に相続財産を減らす方法として、ぜひ活用してほしい対策は「生命保険の非課税」です。本来、生命保険は相続財産ではないのですが、死亡によって受け取ることができる財産であるため「みなし相続財産」となります。非課税の限度額は「500万×相続人の数」です。
先ほどの80代男性を例に説明すると、2億円の金融資産のうち1500万円を使って、契約者および被保険者を80代男性本人とし、受取人を長男・長女にそれぞれに保険金750万円の生命保険を契約したとします。「500万円 × 3人 =1500万円」まで死亡保険金を非課税とすることができます。
【相続財産の合計額(5000万円+1億8500万円)+みなし相続財産(1500万円)】-【基礎控除3000万円+(600万円×3人)】-【生命保険の非課税額1500万円】=課税される遺産の金額【1億8700万円】
①相続税総額を算出
- 課税される遺産総額 1億8700万円
- 妻 1億8700万円×2分の1(9350万円)×30%-700万円=2105万円
- 長男 1億8700万円×4分の1(4675万円)×20%-200万円=735万円
- 長女 1億8700万円×4分の1(4675万円)×20%-200万円=735万円
- 相続税総額 2105万円+735万円+735万円=3575万円
②相続税の総額(3575万円)を実際の相続割合であん分
- 妻 3575万円×2分の1=1787.5万円=0円
- 長男 3575万円×4分の1=約894万円
- 長女 3575万円×4分の1=約894万円
2億3500万円の遺産を法定相続通りに配分した場合、妻は配偶者の税額軽減等の適用を受けて相続税は0円です。長男と長女は相続財産として2億3500万円の4分の1である5875万円、そして生命保険金750万円を受け取り、約894万円の相続税を支払います。
なにも対策しなかった場合の相続税は長男・長女ともに992.5万円でしたので、生命保険の非課税枠を活用することで98.5万円×2人=197万円の節税となりました。