年収1000万円世帯、貯蓄額はいくら?

次に、視点を「世帯」に移してみます。
年収1000万円世帯の貯蓄状況に注目してみましょう。

金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査「二人以上世帯調査」(令和2年)」を参考にすると、以下のようになります。

《年収1000万円以上1200万円未満世帯》貯蓄の分布

  • 金融資産非保有:4.0%
  • 100万円未満:2.0%
  • 100~200万円未満:5.0%
  • 200~300万円未満:3.0%
  • 300~400万円未満:2.0%
  • 400~500万円未満:4.0%
  • 500~700万円未満:7.0%
  • 700~1000万円未満:10.0%
  • 1000~1500万円未満:11.0%
  • 1500~2000万円未満:11.0%
  • 2000~3000万円未満:12.0%
  • 3000万円以上:28.0%
  • 無回答:1.0%

平均値:2386万円
中央値:1500万円

いかがでしょうか。

「平均値」でみた場合、2000万円以上の貯蓄があるというデータが出ていますが、「平均値」を鵜呑みにしてはいけません。

「平均値」は、一部の極端に大きな数値に引っ張られてしまいます。
極端な例ですが、年収2000万円、500万円、200万円の社員が1人ずついた場合、「平均年収」は900万円になります。

これでは、あまり実態を捉えているとは言いにくいですね。

「中央値」は、データを小さい順に並べた時に、ちょうど真ん中に来る値を示したものです。
よって、「平均値」ではなく、「中央値」でみた方が、より実態に近いといえます。

中央値は「1500万円」となっており、「1000万円以上」という範囲でみた場合も62%と、約6割の人が、貯蓄も1000万円以上保有していることがわかります。

さて、年収1000万円以上を稼いでいる世帯は、過半数が1000万円以上の貯蓄を有している一方で、約4割の世帯では中々貯蓄ができないといった状況であることもわかります。

生活水準が高くお金を貯められない、児童手当など所得制限によって公共サービスの恩恵を受けられない、など理由は様々です。

ただそれでも、前者の理由であれば、どこかに貯蓄を増やしていくヒントが隠されている可能性も十分にあります。

「今の生活」が大事であるのと同じくらい、「将来の生活」に対しても真剣に向き合っていく必要があります。