そもそも財政赤字は我々の贅沢の結果ではない
そもそも財政赤字がなぜ発生したのか、という点についても、誤解している人が多いようです。財政が赤字である原因は、我々が贅沢せずに節約したから景気が悪くなった事にあるのです。
「財政赤字は、我々が贅沢した分の費用を増税という形で子供たちに負担させるもので、世代間不公平だ」という人がいますが、それは違うのです。
財政が赤字なのは、税収が少なすぎるか歳出が多すぎるか、どちらかの理由によるものです。そして、景気が悪いと両方成り立ってしまうのです。不況だと税収が減る一方で、景気対策が必要になるため歳出が増えてしまうからです。
さらに、不況だと増税ができません。バブル崩壊後の長期低迷期に、本来はもっと増税したかったのに、景気が悪かったために思ったように増税できなかったから赤字が溜まっていった、という面もあると思います。
思えば過去数十年の間で、一番財政赤字が小さかったのは、バブル期でした。皆が贅沢をしていて景気が大変良く、税収が大幅に増えた一方で、景気対策が不要だったためです。「当時の大人が贅沢をしすぎたから子孫に借金を残した」というわけでは無い事は容易に理解できるでしょう。
バブルの再来を期待するわけではありませんが、好景気の再来は大いに期待したいですね。
そのためには皆がもっと贅沢をしなければならないのですが、老後不安を煽る人たちが多い事もあって、人々が従来以上に節約志向になっているのが気になります。皆が節約すると物が売れずに景気が悪くなり、皆が貧しくなってしまうでしょう。財政赤字だけの問題ではなく、家計も貧しくなってしまうのです。
せめて新型コロナが収束した後は、「リベンジ消費」が盛り上がって景気が絶好調となり、皆が豊かになる、という事を期待しましょう。
本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。
塚崎 公義