財政赤字を減らしても世代間の関係には変化がない

我々が増税に応じて、財政赤字を減らしたとしましょう。我々は預金を引き出して納税するわけですから、我々の預金が減ります。我々世代が歳出削減によって財政赤字を減らしたとしましょう。我々の給料が減りますから我々が貯金する余裕がなくなり、我々の預金が減ります。

そうなると、子供たちが我々世代から相続する財産が減ります。子供たちは増税されずに済みますが、同額だけ相続する財産が減るならば、同じ事です。

悪くすると、財政再建によって景気が悪化して税収が落ち込むかも知れません。景気は「税収という金の卵を産む鶏」なので、財政再建を焦って景気を殺してしまうような愚は避けなければならないのです。

増税による景気悪化によって税収の増加分が漏出してしまえば、あるいは歳出削減による景気悪化によって税収が落ち込めば、我々の貯金は大きく減るのに政府の財政赤字は少ししか減らない、という事も起き得るわけです。そうなれば、子供たちが増税される額が少ししか減らないのに相続する財産は大きく減るわけで、事態は悪化してしまうかもしれません。