財政はインフレ抑制が苦手なはずだが・・・

現在は、インフレ抑制は主に日銀の仕事だとされています。それは、景気が過熱してインフレが懸念されるようになってから予定されている公共投資を先送りする事が容易ではないからでしょう。

まして、まして増税は困難です。増税法案を審議して可決して施行するまでのタイムラグを考えると、施行された時にはインフレが収まって不況になっている可能性も否定できません。

タイムラグの問題だけではありません。景気が良くなると増税、悪くなると減税という立法を繰り返していると、議会が忙しくて仕方ありませんから(笑)。

しかし、今後は少子高齢化で景気の波が小さくなっていきますから、徐々に少子高齢化による労働力不足が深刻化していき、徐々にインフレ圧力が強まっていくと予想されるので、段階的に増税していけば良いわけです。

ちなみに、少子高齢化で景気の波が小さくなっていくのは、高齢者の所得と消費が安定しているからです。高齢者の主な所得である公的年金は、景気に左右されません。老後資金を取り崩していく部分も景気とは無関係でしょう。したがって、高齢者の消費は安定しているわけです。

高齢者の消費が安定しているという事は、高齢者向けのサービスに従事している人々の所得も安定しているという事で、彼らの消費も安定しているはずですね。

極端な事を言えば、現役世代が全員で高齢者の介護をしている世界では、景気の波は皆無かも知れません。そこまで極端ではなくても、そうした世界に少しずつ近づいていくという事は、景気の波が小さくなっていくという事でしょう。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。

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塚崎 公義