人生100年時代を迎え、働く高齢者は今後増えていきます。年金の受給開始の引き上げも議論に上がる中で、高齢者が働きやすいように支援する環境の整備も重要な課題です。

そこで今回は定年後の60代にフォーカスして、高齢者の働き方や生活について見ていきます。

60代で働く人の割合は6割

60代の働く人はどれぐらいで、賃金はいくらなのでしょうか。独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)の「60代の雇用・生活調査」から、みていきます。

60代で仕事をする人の割合は?

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出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.199 60代の雇用・生活調査」

60代の就業状態ですが、「収入を伴う仕事をしていた人」は59.0%で、過半数の人が就業していました。

年齢層別にみると、60〜64歳層が70.2%であるのに対して、65〜69歳層は50.1%と20ポイント程度低くなっています。

男女別には男性が69.1%、女性が49.3%で20ポイント程度男性の方が高くなっています。

2014年調査との比較では、全体的に就業割合は上昇。年齢層別では60~64歳層が8ポイント程度上昇し、男女別では男女ともに4ポイント程度上昇しています。

このうち、会社や団体などに所属している人は76.5%となっています。

また平均勤務日数(6月中)は18.8日、1日当たりの平均労働時間は6.9時間です。

60代で仕事をしている人の雇用形態は?

ここからは、60代で働く人の雇用形態を眺めていきます。

雇用形態についてみると、正社員は2割程度(21.4%)であり、パート・アルバイトが40.7%、嘱託が15.2%、契約社員14.4%などとなっています。

ただし、男女別に大きな違いがみられました。

男性は、正社員の割合(29.3%)の方がパート・アルバイトの割合(22.4%)より高くなっています。

一方で女性では、正社員(11.0%)の割合が低い一方、パート・アルバイトが64.9%と3分の2近くを占めています。

年齢層別にみると、60~64歳層に比べ 65~69歳層では正社員の割合が26.4%→14.6%で12ポイント程度低くなりました。

これに代わりパート・アルバイトの割合が14ポイント程度高くなっています(34.6%→49.0%)。

2014年調査と比べると、男性の60~64歳層の正社員(31.7%→37.1%)と65~69歳層の契約社員(12.1%→22.5%)で割合が高くなっています。男性の定年後の労働が徐々に広まりつつあることがわかります。

【公的年金】厚生年金や国民年金の受給額の平均は月いくらか

ここからは、公的年金の受給額を同調査からチェックしていきましょう。

厚生年金

男性

  • 60~64歳:7万4100円
  • 65~69歳:12万8200円

女性

  • 60~64歳:3万7200円
  • 65~69歳:7万5300円

※この平均額は、特別支給の老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金を含みます。

国民年金

男性

  • 60~64歳:6万2200円
  • 65~69歳:6万4400円

女性

  • 60~64歳:4万9400円
  • 65~69歳:5万9500円

※この平均額は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金、寡婦年金を含みます。

個人年金

この平均額には、個人型確定拠出年金を含みます。

男性

  • 60~64歳:6万4700円
  • 65~69歳:5万4500円

女性

  • 60~64歳:4万7000円
  • 65~69歳:5万2400円

国民年金基金

男性

  • 60~64歳:3万7000円
  • 65~69歳:5万2300円

女性

  • 60~64歳:1万2900円
  • 65~69歳:4万5600円

企業独自の退職年金

厚生年金基金、確定給付年金、確定拠出年金などです。

男性

  • 60~64歳:6万6600円
  • 65~69歳:6万5600円

女性

  • 60~64歳:1万800円
  • 65~69歳:2万3000円

共済年金

男性

  • 60~64歳:9万9100円
  • 65~69歳:11万5400円

女性

  • 60~64歳:5万6700円
  • 65~69歳:7万2400円

なお、厚生労働省の「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2020年度)によると、下記のとおりです。

  • 厚生年金保険(第1号)の平均年金月額:14万4366円
  • 国民年金の平均年金月額:5万9040円

60代世帯の「働く理由」で最も多いのは

ここでは、2019年6月時点の収支をみていきます。

2019年6月の世帯収入は平均35万5000円、生計費は平均25万6000円で、約10万点の黒字となりました。

このデータをみると、老後の生活は意外と余裕があるかもしれません。しかし、年金も今後は減額される可能性も議論になっており、安心はできません。

同調査では、60歳以降の就業者が回答した「働いた理由」のうち、最も多かったのが「経済上の理由」で76.4%と群を抜いて多かったのです。

次いで「いきがい、社会参加のため」(33.4%)、「時間に余裕があるから」(22.6%)などとなりました。

年齢層別にみると、60~64歳層に比べ 65~69歳層では「経済上の理由」の割合が低くなり、「時間に余裕があるから」をはじめ他の理由が多くなっています。

また、男女別には、「健康上の理由」は男性の方が多く、「いきがい、社会参加のため」などは女性の方が多くなりました。

老後の生活の基盤となる資金を作るのはもちろん、健康のためにも働きたいと考えている人が多いのかもしれません。豊かな老後を過ごすためにも、心身の健康を維持することは重要であるといえそうです。

参考資料