なぜ日本代表はベルギー代表のカウンターに敗れたのか、その真実とは

つまり、ここが最大のポイントです。

最大のポイントとは、まさに〝ここ〟でカウンターの成否が決したということです。本田があのCKを蹴ったことで生じた状況は、乾の判断ミスにより致命的となったといえます。

冒頭に4から7までのポイントを記してはいるものの、この4つを仔細に考える必要性はないと言えるでしょう。

この試合で日本代表が喫した2点目を「ベルギーの高さにやられた」とする解説が根本的に間違っているように、この3失点目の要因を「棒立ちだった山口」に求めることもまた完全に誤っているからです。
 
確かに、あのドリブルで駆け上がってくるデ・ブライネに対峙する中で、山口はギリギリまでポジションを下げるべきでしたが、それはあくまでも前述の1から3がなければ生じ得なかった状況なのです。

攻撃の局面でも常にボールを奪われる瞬間に対処できる体制を用意しておく。これを、先の状況に予め備えるという意味で、「予防的カバーリング」と私たちは呼んでいます。もちろんそれはサッカーにおいて攻と守が常に表裏一体の関係にあるからです。つまり、あの最後のCKの場面、しかるべきカバーリングを予防的に日本代表が張っていれば…。

決して単なる〝タラレバ〟として終わらせるのではなく、それこそ方程式の解を正しく導き出すための手段のように考えて吟味する。こうした意図を持ってあのカウンターを分析すれば、その作業から導き出される結論は一つの解法として必ずや成長のための糧になると私たちは考えます。

参考資料

宮崎 隆司