1.本田が蹴るCK(その判断と、ボールの質) 

私たちの手元にある資料に誤りがなければ、本田がCK(コーナーキック)を蹴る瞬間は「93分31秒」。ロスタイムは4分ですから、あと30秒足らずで延長へ持ち込めるという場面です。

ここで日本代表は試合を決めに行くことを選択するわけですが、それが果たして監督の指示であったのか本田をはじめとするピッチ上にいた数人の判断であったのでしょうか。
真実がどうであったかはともかく、これが明確な誤りであったと見るべきでしょう。なお、ここで日本代表がFW大迫に加えてDF3枚を敵のペナルティ・エリア内に入れるという判断については問いません。

地力という意味での両者の力関係からしても、この試合で何度となくベルギーが鋭いカウンターから好機を作っていたという事実から判断しても、この終了寸前の局面でCKのボールをエリア内に入れるという判断はあまりにも危険過ぎます。

しかし本田はそのボールを蹴った。コーナー付近で香川がショートパスを受けるためのポジションをとっていることからしても、チームとしての意思統一がなされていたのか、甚だ疑問です。

そして、本田が蹴ったCKのボール、その質があまりにも悪過ぎた。少なくとも相手GKが出ていけないポイントへ蹴るべきところですが、まさに相手GKからしてこれ以上ないポイントへボールを入れてしまっています。結果、この瞬間にベルギーのカウンターにスイッチが入ることになったわけです。

2.ベルギーGKクルトワがボールをキャッチする直前の乾の判断

ここで言う判断とは、もちろん本田が蹴ったボールの軌道を読むという意味です。軌道を読む。つまりボールの落下点を見極める。これをプロの選手ができないはずはありません。

つまり、あのCKをベルギーのGKクルトワにキャッチされるであろうことは半ば容易に予想された。しかし、ここで日本代表は一つの重大なミスを犯していたということになるのです。

3.ベルギーのGKクルトワがボールをキャッチした直後の判断

あのCKをベルギーのGKクルトワにキャッチされるであろうことが容易に予想された中で、着目すべきは、日本代表の14番(乾)のポジショニングと動きです。

ここで言う動きとは、本田がCKを蹴った瞬間からGKクルトワがキャッチするまでに乾が〝どこから、どこへ〟移動しているのか。

FIFA公式の画像をみていきましょう。

1分21秒で映像を止め、まずは乾が〝どこに〟いるかを確認してください。

次に、同映像を1分25秒で止め、乾が〝どこへ〟行っているかを確認してください。

さらに、同映像を1分27秒で止め、GKクルトワが〝どこで〟MFデ・ブルイネへのパスを出しているかを確認してください。