「生活保護だけは受けたくない」という人も

最低限の生活を保障するのが生活保護。働くことができず養ってもらえる親族がいないのであれば、生活保護を受けるというのはシンプルな構造です。

しかし実際には、心理的なハードルを抱える方も少なくありません。

筆者が自治体職員として役所に勤めていたときは、「税金や保険料が支払えない。でも生活保護だけは受けたくない」と言われる方が少なからずいました。

生活保護に対するイメージは人それぞれですが、心理的なハードルを抱える方は多いものです。

また不正受給などの報道もあり、他人の目が気になる方も多いでしょう。

しかし生活保護とは国民の権利であり、公正に審査されるものです。厚生労働省でもTwitterで「生活保護の申請は国民の権利です。」と呼びかけています。

年金生活者の場合、その年齢から働くことができず、親族もいないことは十分に考えられます。生活保障として生活保護があるということは知っておきたいですね。

「生活保護があるから年金に加入しなくていい」はNG

ただし、「最悪の場合は生活保護があるから」と年金の支払い義務を怠るのは話が別です。

年金保険料の支払いは国民の義務なので、支払わなければ督促料や延滞料が加算されます。悪質な場合は差し押さえの対象となることも。

確かに年金の額が少ないことに不安は感じるものですが、貯蓄と違い一生涯受給できるという心強い側面があります。

また遺族年金や障害年金などの保障機能もあるため、「生活保護があるから年金はいらない」と言えないのです。

年金の額に不安を抱えるのであれば、その分自分でしっかり資産を築いておきましょう。自立を促す国の制度は利用しつつ、老後に向けた資産を築くことができれば、人生はより豊かになりますね。

参考資料

太田 彩子