DF陣が守るべきセオリーとは何であったのか

では、ここでいうセオリーとは何か。

敵のクロス攻撃に際してDFは「ボールと自分がマークする選手の両方を見る」という従来の考え方がなおもあるのは事実としても、現在では「トータル・ゾーン」(敵のボール保持者の位置によって守る側の選手全員がポジショニングを決める)がより有効な手段であると考えられています。

ちなみに、この後者の考えでは、自分のポジションを決める上で、相手選手の位置は考慮に入れる必要がない。敵のクロス攻撃に際してDF陣が取るべきポジショニングは予め決められているのです。

つまり、先のセオリーにもとづけば、鹿島の永木(背番号6)がクロスボールを上げる時点で松本山雅のDF陣が本来守るべき場所が決まります。

ところが、松本山雅のDF陣は、永木他の攻撃に参加している選手に意識をとられ、本来いるべき場所よりもゴールから高い位置に張っていることになりました。

田中をはじめとする松本山雅のDF陣がセオリー通りのポジションを取っていれば、またボールの位置に集中していれば、この場面におけるクロスは難なくクリアできていたはずです。

この考え方の違いを一体どのように捉えるか。どちらが合理的と考えるか。改めて考察する必要に日本サッカー界は迫られていると考えるべきでしょう。