ベテランJリーガーでも犯す不可解な守備とは

では、実際に具体例を見ていきましょう。

着目すべきは白いユニフォームの松本山雅、DF(背番号3)の田中隼磨選手です。

鹿島が松本陣内でボールを回しながら好機を窺っている中、鹿島の右サイドからクロスが入る瞬間(ビデオ=0:16秒、スロー映像=0:43)、ペナルティエリア内で松本が「2対3」の数的不利に置かれていること自体がそもそも極めて不可解なのですが、最も大きな問題はDF(背番号3)の田中選手の動きです。

田中選手が、鹿島の入れたクロスの「ボールを見ていない」ということです。ボールではなく、自分がマークしている鹿島のセルジーニョ(背番号18番)だけを見ている点です。

結果、自陣のエリア内に入ってきたボールを完全に見失っています。ボールを視界から外して一体どうやって守るというのでしょうか。

事実、完全にボールを視界から消している田中は、「1対2」の局面に置かれ、最後は鹿島選手との1対1からあえなくゴールを決められています。
 
これは、セオリーに反したからこその失点。そう断言していいはずです。

田中のキャリア通算は、トータルで569試合出場(J1での出場数は420)。これだけの実績を持つディフェンダーが、このように杜撰な守備を見せていていいはずがありません。