介護保険制度の今後
日本では少子高齢化が進んでおり、3年後には2025年問題といわれる、「団塊世代の人が全員75歳となり全人口の約30%を高齢者が占める時期」に突入します。それによって介護保険制度の財政悪化も懸念されています。
実際、介護保険制度が始まった時の介護サービス利用時の自己負担割合は全員1割となっていましたが、一定以上の所得がある人に対しては段階的に負担割合を増やす措置が取られ、現在では最大3割の自己負担割合となっています。
とはいえ、一定以上の所得がある人の割合はそこまで多くなく、公的年金のみで生活している高齢者が多いのも事実です。
これらの状況を鑑み、介護保険制度については、今後、「介護保険料徴収開始年齢の引き下げ」や「介護保険料の引き上げ」などが検討され始めています。しかし、それを実現するにあたっては、現在の年金制度と同様、若い世代に対する社会保険料負担が大きくなりすぎる点も考慮する必要があるでしょう。
今後の介護保険制度においては、世代間の負担が偏ることのないような工夫を行い、制度の内容を充実していくことが求められます。介護保険制度は2005年から3年ごとに改正が行われており、直近では2020年に改正が行われています。次回の改正時にはどのような改正内容が盛り込まれるのか、ぜひとも注目しておきたいところです。
参考資料
- 厚生労働省「介護保険制度について」
- 協会けんぽ「令和3年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
- 厚生労働省「第1回介護施設等の在り方に関する委員会」
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」
新井 智美