景気が順調に拡大している時は比較的余裕がある
景気が順調に拡大している時には、景気の予想屋は比較的ヒマです。インフレ懸念が出るほど景気が過熱していれば別ですが、そうでなければ財政金融政策は発動されないでしょうから。
海外経済の担当者に変調の兆候があるか否かを定期的に聞くわけですが、これも変調など滅多にあることではないので、「特にない」と言われたら、特にすることは無いわけです。
もちろん、本当にヒマにしているわけではなく、次の不況期に備えた勉強等は当然に必要なわけですが。
景気回復初期の予測が最も困難
景気予想屋にとって最も悩ましいのは、景気回復初期に海外経済に小さな変調が生じる場合です。景気が順調ならば、多少の輸出数量の減少があっても景気は拡大を続ける場合が多いのですが、回復初期はそうでもないからです。
もともと体が弱い人が、病み上がりで体力が弱っている時には、少し寒風に当たっただけで風邪を患ってしまう事が多いでしょう。そんなイメージですね。
しかも、景気は自分では方向を変えないので、微妙な判断を間違えると結果を大きく間違えることになりかねません。船が嵐で傾いている時に、あと1センチ波が高まれば転倒して沈没するが、現状の波が続くのであれば、嵐の後に船が元に戻って何事も無かったように航海を続けるだろう、と言う時に似ています。
船員たちは非常に緊張するのでしょうが、景気の予想屋も非常に緊張するわけです。僅かな違いが大きな結果の違いになってしまいますから。
本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。
塚崎 公義