政府の財政金融政策で十分か否かを経験と勘で予測

景気が下を向いている時には、政府日銀が財政金融政策で景気を回復させようとしますから、それで景気が回復するのか否かを予想することになります。

財政政策については、各種報道でどのような措置が講じられそうかが予想できます。

あとはそれで景気を回復させるのに十分なのか否かを予想するわけですが、それには長年の経験と勘が必要です。「景気は気から」なので経済学理論では予想が難しいからです。

公共投資に関しては、政府が直接失業者を建設労働者として雇う分については予測が容易ですが、雇われた元失業者が受け取った給料を消費するのか貯金するのか、といった乗数効果の部分の予想は経験と勘で行います。

問題は、減税です。減税が消費や投資につながるのか、全額貯金されてしまって効果がゼロなのか、大いに消費者マインドや企業家マインドに影響されるからです。

金融緩和に関しては、景気を回復させる力は弱いので、あまり気にする事はありません。金利が大幅に引き下げられれば少しは設備投資等が増えるかも知れませんが、その程度です。

不況期は既存の工場の設備稼働率が低いので、金利が下がったからと言って新しい工場を建てようという会社は少ないからです。

金融緩和が美人投票的に株高やドル高をもたらし、それが景気を回復させる、という可能性はあります。ただ、そもそも美人投票の結果を予想するのは極めて困難ですし、仮に株高やドル高になったとしても景気への影響はそれほど大きく無いでしょうから、あまり気にしなくて良いと思います。

反対に、景気過熱によってインフレが心配な時には緊縮財政と金融引き締めによって景気をわざと悪化させてインフレを防ぐわけですが、こちらについても長年の経験と勘が必要なはずです。

問題は、過去数十年にわたってインフレ懸念が生じた事がないので、経験と勘を使える景気予想屋がほとんどいない、という事でしょうね。

財政は、インフレ抑制は苦手です。成立済みの予算の執行を凍結する事は容易ではありませんし、インフレ抑制のために増税する事は更に困難でしょうから。というわけで、金融引き締めの影響を論じることになるわけですね。

これについては、経験と勘が使えないならば、「日本で最も優秀な景気予想屋たちを大勢雇っている日銀が決めたことだから、きっと景気後退は軽微でインフレも抑制されるだろう」と考えておけば良いように思います(笑)。