独立には「赤字経営」以外のリスクも
独立するとなれば、雇用されるよりも「安定」からは遠ざかるかもしれません。収入は頑張り次第で青天井である一方で、赤字に陥るリスクがあることは、容易に想像がつきます。
それ以外にも、フリーランスには給与所得者にないリスクがあります。
例えば病気やケガで働けなくなったとき、会社員であれば「有給休暇」や「傷病手当金」がありますが、フリーランスは無給になります。
健康保険が事業主と折半だった頃に比べれば、フリーランスが入る国民健康保険料は高くなる可能性もあります。国民健康保険は世帯員が増えるほど保険料が高くなるので、家族を扶養していた人にとっては痛い出費となるでしょう。
また厚生年金に加入できないため、将来の年金額も減ります。
こうした保障面を考えると、フリーランスは「働けないリスク」や「足りない年金」について、民間の保険で備える必要があるといえます。
フリーランスの待遇を巡っては、2月16日に労働組合が改善を求めて厚労省に要望書を提出したところです。2021年9月1日から一部のフリーランスが労災保険に加入できるようになったなど、制度は発展途上だと言えるでしょう。
まとめにかえて
日本の平均年収は433万円ですが、実際には男性で1番多いのが「300万円超400万円以下」、女性で1番多いのが「100万円超200万円以下」です。
また独立に関心がある人の中でも、「年収300万円~499万円以下」の人が多いことがわかりました。
年収だけではなく、働き方の面でもメリットのある独立について、検討してみるのも一つでしょう。
一方で、独立には一定のリスクもあります。赤字に陥るだけでなく、公的な保障が減ることも視野にいれて、じっくり人生のプランを考えておきたいですね。
参考資料
- 国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」
- 国税庁「平成9年分 民間給与実態調査統計」
- 株式会社Dai「独立開業に関する意識」
- 厚生労働省「令和3年9月1日から労災保険の「特別加入」の対象が広がります」
太田 彩子