離婚前の別居ではどうなるのか
原則、世帯主へと支給される「児童手当」。今の日本では男性が世帯主であることがほとんどでしょう。
しかし離婚前には別居をする夫婦が多く、母親が子どもと一緒に住むケースも多いもの。国立社会保障・人口問題研究所の「2021年人口統計資料集 表6-14親権を行わなければならない子をもつ夫妻別離婚数」によると、2019年で離婚時に「夫が全児の親権を行う」のは11.9%、「妻が全児の親権を行う」のは84.5%。離婚後は、母親が8割以上親権をもちます。
離婚前に女性が子どもを連れて別居する場合、申請しなければ児童手当を受け取れなくなってしまう可能性もあります。育児・家事と両立するために、専業主婦や扶養内パートとして働く女性も多い現代、早めに児童手当や今回のような給付を必要とする方は多いでしょう。
内閣府によると、離婚協議中で配偶者と別居している場合、その事実を確認できる以下の書類を自治体へ提出し、児童手当の認定請求を行うことで、児童と同居している人に児童手当が支給されます。
- 離婚協議申し入れにかかる内容証明郵便の謄本
- 調停期日呼出状の写し
- 家庭裁判所における事件係属証明書
- 調定不成立証明書など
他に離婚協議中である事実を確認できる資料として、以下のような「少なくとも一方に離婚の意思があり、相手方にその意思が表明されていることが客観的に確認できる書類」が挙げられています。
- 公的機関から発行された書類
(例)控訴状の副本(離婚裁判に係るもの)
※ 被控訴人(申請者)又は被控訴人の代理人に対して裁判所から送達されるもの
- 弁護士等、第三者により作成された書類
(例)離婚協議における申請者の代理人である弁護士から申請者に宛てた離婚協議の進捗状況に係る報告書
※参考:内閣府「児童手当Q&A(配偶者と別居されている場合の取扱いについて)」
上記のように、基本的には客観的に離婚協議中であることがわかる資料が必要になるのですね。
中には調停になったり弁護士に頼んだりせず、協議で離婚する方もいるでしょう。
そのような場合には、配偶者から申請者と離婚協議中である旨の申立書を提出するなどした上で、自治体が申立書の内容を配偶者に確認できた場合、離婚協議中として取扱われます。この場合、配偶者への確認が必要になるのですね。
また、原則として、住所が別である配偶者と離婚協議中である必要があります(世帯分離をしている場合は別居とされます)。
しかし上記は原則であり、個別の状況によっては申請者が受給できる可能性もあります。まずはお住まいの自治体に相談するのが一番でしょう。