2020年シーズンの不振を乗り越え昨シーズン二刀流旋風を巻き起こした大谷翔平選手は、満票でア・リーグMVPに輝きました。多くの項目でキャリアハイを記録した大谷選手ですが、特に注目を集めたのがホームランの増加です。

前半戦からホームランを量産し、一時はタイトル獲得も現実味を帯びました。終盤の四球攻めや不振でタイトルは逃しましたが、日本人歴代最多となる46本のホームランを放ちました。

キャリア最低の成績だった2020年シーズンからどのような変化が起きていたのか、大谷選手の変化に迫ります。

【大谷翔平】2020年シーズンからの3つの変化とは?

最も大きな違いはフィジカル面の不安を抱えず、シーズンに入れた点です。20年シーズン前のオフは膝のリハビリに終始し、膝の筋肉を強化するためのトレーニングが十分に積めませんでした。

他にはアッパースイングへの変更と試合前のルーティン見直しが挙げられます。

①フィジカル面の充実

昨シーズンのオフに徹底したウエイトトレーニングを積み、強靭な下半身を形成できました。フォームに安定感が増し身体がブレることなく、力強いスイングを放てます。

20年シーズンは前年に手術を受けた左膝のリハビリプログラムが組まれ、筋肉強化に向けたトレーニングは十分できませんでした。結果としてトップを作る時に軸足となる左膝に十分体重を乗せられず、スイングから力強さが失われます。

さらに、ボールを捉えに行く時に右足の踏ん張りが効かずに体重移動でのブレが大きくなり、ミスショットやボール球に手を出すケースが増えます。特に左ピッチャーが投げる外の変化球への対応に苦しみ、腰が引けた体勢での凡打が目立ちました。

下半身の強化

シーズンの反省からオフはジャンプ・短距離ダッシュ・ウエイトトレーニングをミックスしたメニューをこなし、下半身を徹底的に鍛えます。瞬発力と耐久性が高まり、テイクバック時に十分パワーを溜められるようになりました。

強靭な下半身から生み出される爆発的なパワーによって力強くボールを弾き返し、速球・変化球問わずアーチを描けるようになります。特に前半戦は甘い球を長打にする割合が高く、前半戦だけで33本もホームランを放ちました。

また、強烈なパットスピードによってギリギリまでボールを引き付けられるようになり、大谷選手の特徴である逆方向へのホームランが増えました。全46本のホームランの内、センターから左へのホームランは19本と約半数近くを占めます。

さらに、外に逃げていく変化球を無理して打ちに行く割合が減りました。厳しいコースを見逃して冷静に四球を選び、キャリア最多の96四球を選びます。打者の総合的な能力を示すOPS(出塁率+長打率)は、ア・リーグ2位となる.965をマークしました。