「コメダ珈琲」は喫茶店自体への訪問が目的となる喫茶店文化を広げている

愛知県の一宮市を中心とする尾張地区では、土曜や日曜の朝食を喫茶店で取る文化があります。いわゆる格安モーニング文化が根付いています。現地では今でも土日の朝食を喫茶店で親子3代揃ってモーニングで取り、その後の午前を喫茶店内でノンビリ過ごす光景はそれ程珍しくありません(座敷のある喫茶店もあります)。

コロナ禍の中でも駐車場のある広い喫茶店は土日の午前中は混雑しています。同地区では喫茶店は立ち寄る店ではなく「訪問」が目的となる店です。その尾張地区の喫茶店文化を受け継ぐのが名古屋本社のコメダHDが展開する「コメダ珈琲」です。「コメダ珈琲」は尾張地区独特の喫茶店文化を、コロナ禍を契機に全国に広めている一面があります。

コロナ禍の中で喫茶店業界は厳しい状態にあります。しかし「コメダ珈琲」はお得なモーニングや美味しいシロノワールに加えて、ゆったりとした店の雰囲気と新聞雑誌やWiFiにより、“立ち寄る店”ではなく“訪問自体が目的となる店”の立ち位置を得つつあるのが業績復活の一因かもしれません。

また感染症対策の面から、「コメダ珈琲」の広い店内は顧客に安心感を与え成長を後押ししていると考えられます。喫茶店ながら“立ち寄る店”から“訪問自体が目的となる店”として存在感を増す「コメダ珈琲」は更に業績を伸ばすのか、今後の業績の行方が注目されます。

参考資料

石井 僚一