バブル崩壊後の1990年代〜2000年代前半ごろに就職活動をした「就職氷河期世代」は、その後もさまざまな課題に直面していると言われます。

 2021年12月24日には人事院より「2021年度 国家公務員 中途採用者選考試験(就職氷河期世代)」の合格者が発表され、203人が合格しましたが、試験の申込者数は5302人で実質的な倍率は約26倍と各種メディアで報じられました。

今回は就職氷河期世代である40代にクローズアップして、現在の賃金や貯蓄・負債、また老後もあわせた現実を見ていきましょう。

大卒で「一時的な仕事に就いた者」の推移

就職氷河期世代は大学を卒業しても正社員になることができず、非正規雇用に就いた方も多くいました。

当時の状況の一つの参考として、文部科学省の「文部科学統計要覧(令和3年版)」より、大学卒業者のうち「一時的な仕事に就いた人」の推移を1990~2020年まで5年ごとに確認しましょう。

【大学】卒業者数/一時的な仕事に就いた者

  • 1990(平成2)年:40万103人/3645人
  • 1995(平成7)年:49万3277人/9280人
  • 2000(平成12)年:53万8683人/2万2633人
  • 2005(平成17)年:55万1016人/1万9507人
  • 2010(平成22)年:54万1428人/1万9332人
  • 2015(平成27)年:56万4035人/1万1730人
  • 2020(令和2)年:57万3947人/8784人

就職氷河期世代の年齢の定義は多々ありますが、一般的には1993〜2005年頃と言われます。上記を見ると、2000(平成12)年には大学卒業者のうち、一時的な仕事に就いた者が2万人を超えています。

その後も2005年には2万人に近い水準です。2010年も2万人に近いですが、これはリーマンショックによる影響でしょう。

中には希望して一時的な仕事に就いた方もいると考えられますが、推移を見ると就職氷河期の影響が分かります。

就職氷河期が過ぎて雇用環境が好転しても、30代で一度も正社員になったことのない氷河期世代も珍しくありませんでした。転職で不利になり、非正規雇用のまま40代となった方もいるのです。