iDeCoの受け取りを優先する

つみたてNISAは収益率の高さから、老後の生活資金獲得のために活用されることが多い制度です。しかし非課税枠は2018年から毎年40万円全額を投資できたとしても、運用額は最大1000万円まで。十分な老後資金の確保には不十分と考える人も多いでしょう。

老後にもらえる年金を増やす方法のひとつにiDeCo(個人型確定拠出年金)があります。iDeCoはつみたてNISAと同じく積み立てた資金を運用する制度ですが、主に自営業者向けの私的年金制度として設けられたため、受け取り方法は制限されます。

具体的には、一時金として受け取る場合には70歳まで(令和4年4月以降は75歳まで)、確定年金なら最長20年間での分割。最速でも60歳になるまでは引き出すことはできません。

iDeCoは受け取りタイミングに条件がある一方、つみたてNISAを課税口座に移した後には運用期間や売却に制限はなく、何歳までも運用をし続けられます。もしiDeCoから十分な年金を受け取れるようなら、つみたてNISAの運用分売却は先延ばしし、運用を続けてよいでしょう。

課税口座への切り替えタイミングで運用継続を検討しよう

つみたてNISAは、積み立て開始から非課税期間の終了まで、20年近く付き合うことになる制度です。課税口座での運用よりも多くの利益を得られますが、重要なのは非課税期間終了後の使い方です。出口戦略は運用期間や年齢、ライフステージによって大きく変化します。

またiDeCoや公的年金など、他の資産との兼ね合いも考える必要があるでしょう。自分にとって最適な出口戦略は何なのか、つみたてNISAの非課税期間の終了が近づく頃になったら、最適な出口戦略に意識を向けてみましょう。

参考資料

手塚 裕之