ライフステージごとに発生する出費に応じて売却

30~50代は、ライフステージの変遷に応じて多くのイベントが発生する年代。子どもの進学や自宅の修繕など、まとまったお金が必要になるシーンが増えてきます。そうした大きな出費への備えとして、つみたてNISAを利用する家庭も少なくありません。

つみたてNISAは一般的な投資信託と同様に、いつでも売却が可能です。また非課税期間中にどのタイミングで売却しても、もちろん課税されません。大きな出費に対する備えとしてつみたてNISAを活用し、計画的に売却するのもよい使い方です。

なお、つみたてNISAで運用していた投資信託を売却しても、非課税投資枠は回復しない点には注意しましょう。

含み損が小さいうちに早期売却も

一方、つみたてNISAは非課税期間終了後、その時点の運用成績にかかわらず自動的に課税口座へ移し替えられます。その時点で含み益があるなら、元本が増えた状態で課税口座での運用をスタートできますが、含み損がある場合には注意が必要です。

仮に初年度に投資した40万円が20年後に35万円まで減っていた場合、課税口座には取得価額35万円で移し替えられます。その後運用の結果40万円まで戻したとしても、5万円の利益は課税対象となり、約1万円の税がかかってしまいます。

もし含み損が大きい状態で非課税期間の終わりを迎えそうな場合には、含み損が大きくならないうちに早期売却し、再投資のタイミングを測りましょう。

60代以降は非課税期間終了時に売却

非課税期間が終了した時点で60歳を超えているようなら、課税口座に移し替えられたと同時に売却を検討してよいでしょう。

2013年に制定された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」により、2025年4月1日以降の定年が65歳へと引き上げられました。しかし現在は経過措置期間であり、60歳定年のままである企業も少なくありません。公的年金の受給は繰り上げ制度を利用しない限り65歳から。定年から年金受給開始までの生活資金が十分に確保できていないようなら、つみたてNISAを売却した分を活用してもよいでしょう。

また、60歳以降におけるつみたてNISAの売却タイミングは、つみたてNISAを積み立てた年齢によっても異なります。仮に2022年から45歳でつみたてNISAを利用し始めた場合、つみたてNISAの積み立て最終年である2042年には65歳。この年に積み立てた分の非課税期間が終了するのは84歳になる2061年です。この年齢まで運用を続けられるだけの十分な資金力がないようなら、非課税期間中の売却を検討しましょう。