ガソリンスタンド同士の過当競争によってガソリン価格が大幅に値下がりする可能性もある、と筆者(塚崎公義)は考えています。

ガソリン価格の高騰は需要を減らし、利益を減らす

ガソリンが高いですね。庶民の生活を直撃する事態で困っている人も多いはずです。もっとも、そのことがガソリンスタンドの過当競争を誘発してガソリン価格の値下がりをもたらす可能性もないとは言えません。今回は、そうした可能性について考えてみましょう。

ガソリンが高いということは、ガソリンの需要が落ちる可能性が高いでしょう。そうなれば、ガソリンスタンドは販売数量が減り、苦しくなります。固定費が回収できなくなるからです。

ガソリンスタンドは、売り上げがゼロならば固定費分だけ赤字です。建物の減価償却、借入金利、人件費等々は売り上げがゼロでも費用に計上する必要があるからです。それを、粗利(売上マイナス仕入、売上総利益とも呼ぶ)で埋めているわけです。

仮に、固定費が1万円、ガソリン1リットル当たりの売値が100円、仕入値が50円だとしましょう。売り上げがゼロなら1万円の赤字ですが、1リットル売り上げるごとに粗利分の50円だけ赤字が減って行き、200リットル売れば赤字が消えます。その後の売り上げ増加に伴う粗利が儲けとなるわけです。

固定費の存在により、売上数量のわずかな変動が損益を大きく動かすことになります。売上数量が204リットルから202リットルに、わずか1%落ち込んだだけで利益が半減し、199リットルに落ち込めば赤字に転落してしまう、というわけです。