社会保険への加入、子育て家庭のメリットは?

さまざまな意見があるパートの社会保険への加入ですが、子育て中の女性にとってはメリットもあります。3つほど確認しましょう。

将来の年金額(老齢年金)が増える

厚生年金に加入すれば、国民年金(基礎年金)に上乗せして厚生年金も受け取れるようになります。「今の生活が大変なのに、老後のお金まで考えられない」という方もいるでしょう。一方で、今は年金のみでは老後生活できないとも言われています。

参考までに、厚生労働省年金局「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」から、今のシニア世代のひと月の国民年金と厚生年金の受給額を比べましょう。

国民年金・厚生年金のひと月の平均受給額

  • 国民年金:全体平均5万5946円(男性平均:5万8866円・女性平均:5万3699円)
  • 厚生年金:全体平均14万4268円(男性平均16万4770円・女性平均:10万3159円)

20歳以上60歳未満の方は原則加入する国民年金の場合、平均はひと月5万5964円。一方で会社員や公務員、条件を満たしたパートの方が加入する厚生年金は、男女でおよそ6万円もの差があります。

厚生年金は加入期間や収入額に応じて受給額が異なります。育児や介護で離職したり、扶養内で働かれたりすることが多い女性の場合、男性より年金額は低くなります。年金のみでは生活できないと実感できる数字でしょう。

今の収入額が、将来の年金額まで影響することは、特に女性は知っておくといいでしょう。

「もしもの時」の備えが手厚くなる

先ほどの老齢年金以外に、「障害年金」「遺族年金」も手厚くなります。国民年金(基礎年金)のみの方は「障害基礎年金」「遺族基礎年金」のみでしたが、厚生年金に加入すれば「障害厚生年金」「遺族厚生年金」へも加入できます。

子どもがいる女性の場合、「もしもの時」の備えが手厚くなると心強いでしょう。

傷病手当金や出産手当金など保障が手厚い

健康保険へ加入すれば、病気やケガをして仕事を休む場合でも条件に当てはまれば「傷病手当金」がもらえます。支給されるのは以下の4つの条件をすべて満たした場合です。

  • 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業である
  • 仕事に就くことができない
  • 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかった
  • 休業した期間について給与の支払いがない

病気やケガの療養のために仕事を休んだ日から、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して給与の3分の2相当が支給されます。最長で支給開始日から1年6ヵ月受け取れます。

人間、誰しも病気のリスクを抱えています。育児中の女性が病気をすれば、治療費だけでなく子どもを預ける必要があるなど、意外とお金がかかるもの。病気の際でも収入が途絶えないのは心強いでしょう。

その他に、「出産手当金」も貰えるようになります。出産手当金は「出産日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)~出産日の翌日以降56日」まで、会社を休み給与の支払いがなかった期間に支払われます。こちらも金額は給与の3分の2相当です。

子どもがいる家庭の場合、教育費や住宅ローンにお金がかかり、なかなか老後資金にまで手がまわらない場合もあるでしょう。「もしもの時の備え」である貯蓄や保険が準備しきれていない家庭もあります。上記の3点で考えればメリットと言えるでしょう。