気がつけば“給料安い国"に

どうも事態は、「そもそも給料なんて、高い人も低い人もいるよ」なんて悠長なことを言っている場合ではなくなりつつあります。個人の問題ではなく、日本そのものが“給料安い国"になりつつあるのが実態です。

ダイヤモンド・オンラインの「日本人は韓国人より給料が38万円も安い!低賃金から抜け出せない残念な理由」(2021年8月2日)では、その理由として5つのポイントを挙げています。

  • バブル崩壊やリーマンショック後に、日本企業は雇用維持を優先し、賃金を抑制してきたこと
  • 雇用を維持しながら、賃金を下げられないこと
  • 労働組合の弱体化(労働組合は雇用維持を最優先に賃上げを要求してこなかった)
  • 大企業が雇用維持を優先し続けたことで、中小企業に大企業から人材があまり移動しなかった
  • 賃金と個人消費の停滞の悪循環。賃金が上昇しなかったことで、個人消費が拡大せず国内市場も拡大しなかった

どうも労使が協力して、賃上げ抑制を担ってきた奇妙な構図のようです。

「雇用を維持しながら、賃金を下げられないこと」は、いったん賃上げをすると業績悪化時に引き下げてコスト削減をすることができないこと。確かに業績がいいときは賞与で払い、“ベースアップはしない"状態が続いているという現実があります。

同記事では、他の主要国では日本より雇用が流動化している分、日本のような賃金の抑制は起きず、人材の移動が生産性向上にもつながっているとしています。