最近、「日本の賃金は世界と比較して全然上がっていない」という記事が目につきます。ということで、今回はなぜ日本人の賃金は上がらないのかを考察します。
ただ、この問題の背景には、どうも日本人の現実から目を背ける悪い癖も影響している気がします。そのあたりも含めて考えてみます。
インバウンドが3000万人を突破した本当の理由は?
まず、日本人が現実から目を背ける事例を思いつくまま挙げてみます。
ちょっと前はインバウンド戦略が大成功で、多くの外国人旅行者が日本を訪れていました。2019年の年間訪日観光客は3188万2049人。
問題はこの成功原因が、「インバウンド政策の成功」「おもてなしが世界から評価」などと語られることです。ちょっと待てよ、と思うわけです。
実は、単に円安で物価が安いからではないか。東京駅周辺でランチ4品コースで20ドルなんて、先進国はもちろん、途上国でもあまりないと思います。
どうも日本人には主原因から目を背けて、自分の都合の良いように解釈する傾向があるのかもしれません。
もうひとつ、これは思考停止の事例。
「戦後の日本はなぜ高度成長したのか」という問いの答えが「日本人が頑張ったから」。もう、小学生の回答ですよね。頑張っただけでは高度成長なんかしません。高度成長するには、それなりの要因が普通あるのではないでしょうか。