国内の産業界の対応はどうか

一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)も2020年6月に「チャレンジ・ゼロ」を開始している。

脱炭素を目指して、二酸化炭素排出量を、「省エネ」「燃料転換・新エネ」「CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)」、またグリーンファイナンスや技術の海外展開支援などを通じて、「ネット」でゼロエミッションを目指している。

こうした中では、省エネ、燃料転換・新エネ、CCUSの順にベースライン(特段技術進展がなく、排出削減対応も取らない場合の排出量)に対して削減量を積み上げていかなければならない。

脱炭素か企業収益のジレンマなのか

先ほども触れたように、生産量が減少するような状況になれば、それに比例する形で二酸化炭素排出量も減少するであろうが、生産量の減少は、特に製造業の場合には売上高の減少にもつながるし、また生産設備のキャパシティが一定の場合には稼働率の低下も招き、収益にとっては大きくマイナスに働く。

経団連を中心とした「チャレンジ・ゼロ」は今後も努力は続いていくであろうが、パリ協定における2030年、2050年という時間軸においては、日本の産業構造そのものを転換していく必要があるのではないだろうか。

10年後、20年後と時間を経るにしたがって、少子高齢化というトレンドもあり、国内の産業構造をそのまま維持していこうというのにも無理がある。こうした観点からさらに議論が進む必要があろう。

参考資料

青山 諭志