英国ではCOP26(第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議)が開催され、世界中で気候変動対応に意識が向いている。また、気候変動の影響は先進国、新興国などにかかわらず、その対応策に対しては待ったなしの状況である。

日本においても気候変動に対しての動きは確認できる。2021年10月22日に閣議決定された「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」。その中で策定されたわが国のカーボンニュートラル、いわゆる脱炭素を目指した内容は各産業や企業に影響を大きく及ぼすものだ。

しかし、この状況に関して企業の一部の経営者や経営企画担当者が敏感に反応しているにとどまっている印象だ。今回はその閣議決定の中で、特に製造業がどのような影響があるのかについて考えてみたい。

我が国の産業からの温室効果ガスはどの程度か

同閣議決定の資料から産業別の二酸化炭素排出量をみてみよう。

産業部門のエネルギー起源二酸化炭素排出量は2019年確報値で3億8400万トンである。その内訳は以下のとおりである。

  • 鉄鋼業:1億5500万トン(40%)
  • 化学工業:5600万トン(15%)
  • 機械製造業:4000万トン(10%)
  • 窯業・土石製品製造業:2900万トン(8%)
  • パルプ・紙・紙加工品製造業:2100万トン(5%)
  • 食品飲料製造業:2000万トン(5%)
  • プラスチック・ゴム・皮革製品製造業:1000万トン(3%)
  • 繊維工業:810万トン(2%)
  • 他製造業:2100万トン(5%)
  • 非製造業:2400万トン(6%)

このような内訳となっている。