昨今、企業のESGに向けた姿勢への注目度が高まっています。ESGとはE(環境)、S(社会)、G(企業統治)の英語の頭文字をとったものです。今回は様々な上場企業がESG戦略を検討、実施する中で、百貨店運営のJ.フロントリテイリングを取り上げ、同社のESGに対する取り組みをご紹介します。
E(環境):小売店の立場生かし、顧客啓蒙に積極的
同社は環境面において、エネルギー使用量や温室効果ガス、廃棄物の取り組みなど幅広く活動していますが、着目すべきは消費者も巻き込んだ動きでしょう。同社は運営する大丸・松坂屋各店で、消費者の生活の中に「エコ」「エシカル」を取り入れるための提案を行っています。6月・10月の環境月間には、各店の売場で環境配慮型商品の提供や、環境負荷の低減につながるライフスタイル提案を企画・推進しています。
クールビズを軸に、ビジネスシーンでは快適感とおしゃれさを両立した衣類を提供するなど、社会課題の解決と消費者ニーズの充足を可能とする商品を提供しています。また、アパレル面だけでなくインテリア面でも環境負荷の低減につながる顧客啓蒙を推進しています。節電&猛暑対策として、接触冷感素材を使用したダウンケットや、自然素材の「い草」を使用したマットやラグなどの「い草シリーズ」など、消費者の生活全般に渡る広範囲な配慮が見て取れます。
こうした取り組みには、多様な商品を扱い、かつエンドユーザーである消費者と直接接点を持つ同社ならではの独自性がうかがえます。なお、これらの環境に対する取り組みはSDGsの掲げる17つのゴールのうち、環境関連(ゴールナンバー:7、11、13、14、15)、健康関連(同3)とも密接に関連しており、ESG、SDGsの両面で優れた取り組みを進めているといえるでしょう。
※SDGsのゴールについては末尾に参考情報として掲載していますので、ご参照ください。