オール電化でも、火事は起こり得る

次に悩ましいのが「住まいの管理」にまつわる問題です。筆者が経験した中でも「インパクト強め」のエピソードを交えてお話しします。

「火の元の管理」は住まいを守る基本です。まさかの時に備えてガスコンロをIHヒーターに交換したというシニア世帯も多いでしょう。オール電化であれば、母の家から火が出ることはないだろう、と、筆者はのんきに構えていましたが……。

ある日、母の冷蔵庫が突然冷えなくなりました。原因は、冷蔵庫の背面の基盤部分に「大量の、とある虫(※)」が入り込み、ショートを起こしていたから。この手の故障はメーカーの修理対象外だそうで、冷蔵庫を買い替えるハメに。

電気屋さんいわく、「家電の種類や部位によっては、最悪火災も起こり得る」とのこと。オール電化だからと安心しきっていた自分の浅はかさにゾッとしました。

生鮮食品の無計画な買いだめ、ゴミの始末の失敗などの積み重ねが招いた結果であることは、現場を見ても明らか。さらに、認知症の前駆症状の一つと言われる「嗅覚低下」が既にそのころ起きていた可能性も高いと考えられます。

さて、この冷蔵庫事件がきっかけとなり、介護保険を使ってヘルパーさんに来てもらうことに。キッチンを清潔な状態に保てるようになり、筆者は胸をなでおろします。

一方、キッチンの中に他人を入れることに強い抵抗を感じた母は落ち込み、その後強い心身の不調を訴えるようになるのです……。この続きは、次の機会にお話ししましょう。

(※)とある虫…Gから始まる、黒いアイツ。