近年、テレビやネットなど多くのメディアで「ESG」という言葉を頻繁に見聞きするようになりました。「企業の社会貢献でしょ?」「環境に優しい活動のことだよね?」といったように漠然としたイメージを持っている人も多いでしょう。今回はこのESGに焦点を当て、基礎知識や実際のビジネス・金融市場での動き、そして投資での生かし方も紹介していきます。

よく目にするようになったESGとは?

まず、ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの英単語の頭文字を組み合わせた言葉。「環境」とは、具体的には公害や資源、地球温暖化といった領域です。同様に「社会」とは人権や労働、地域などで、「企業統治」とは不正防止や事業の公平性、株主利益の配慮などの領域です。

そして、各企業を「環境・社会・企業統治」の3つの視点で捉え、投資する上での評価基準に加えようという考え方がESG投資。こういうと「お利口さんな企業に投資する」といったある種表面的できれいごとのような考え方と捉えられがちです。

しかし、実際はもっとシビアなもの。ESG投資の根底には、「ESGへの配慮ができていない企業は企業価値が毀損(きそん)している」という、投資家として至極当然な経済合理的考え方があるからです。基本的には国内外の機関投資家をメインに広がりつつある考え方であるものの、上記の理由から個人投資家も意識せざるを得ないテーマです。