子どものいる世帯では、自然豊かな環境で子育てをしたいと考える方は少なくないでしょう。一方、人口減少が進む地方自治体では、積極的に子育て世代の移住をサポートする取り組みが行われています。国も地方移住の情報を発信するなど、東京一極集中の是正を進めることに意欲的です。
たとえば総務省は今年3月、コロナ禍を契機に関心を集める地方移住の推進に関するレポート「『地方への人の流れの創出』に向けた効果的移住定住推進施策事例集」を発表。自然豊かな環境で生活を送る魅力や各自治体の施策を紹介しています。
テレワークで注目を集める地方移住
昨年来、テレワーク(あるいはリモートテレワーク、在宅ワーク)という言葉が、メディアで頻繁に取り上げられるようになりました。これまでテレワークは一部の職種に限定されていましたが、コロナ禍で在宅勤務が推奨され、オンライン会議が盛んに行われるようになるなど、家で仕事ができる体制がこの1年で急激に進んでいます。
それに伴い、都市部に比べれば住居費が安く、広い間取りの家に住める地方への移住に注目する人も出ているようです。そんななか、自治体と連携して地方移住を支援している認定NPO法人ふるさと回帰支援センターが、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に住む20歳から74歳の男女1万5千人を対象に調査を実施。
10月7日に発表された結果を見ると、地方移住に関心があると答えたのは全体の6.4%、具体的に計画しているのは2.1%。年代別で移住に関心がある割合をみると、男性の20代~30代と40代がそれぞれ8.1%、女性では20歳~30代が7.0%、40代が6.8%と現役世代で高い傾向が出ています。
子育て面を考えると、大都市圏に住んでいる場合、周りの子は習い事や受験勉強に忙しく、近所の仲間と思うように遊べないという環境もあります。その一点、地方では平日にギッシリ習い事の予定が入っているという多忙な子どもは多くなく、自然が身近にある環境で伸び伸びと子育てができるという魅力があります。
しかし、地方での子育ては良いことばかりではありません。特に進学面では都市部に比べて選択肢が少なくなるという現実を認識する必要があります。